児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

元警官、淫行の無罪主張「恋愛感情に基づいていた」(長野地裁)

 最決h28.6.21に「行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断する」という基準が示されているというのですが、考慮要素だし、総合考慮なので、はっきりしないです。
 少年補導担当の警察官と、対象の少女の関係の場合は、影響関係を払拭するのは難しいでしょう。
 実刑危険がある。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85960
児童福祉法違反被告事件
裁判年月日  平成28年6月21日
法廷名  最高裁判所第一小法廷

判例番号】 L07110035
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集70巻5号369頁
       裁判所時報1654号174頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 警察学論集69巻10号162頁
       警察公論71巻10号87頁
       研修820号15頁
       論究ジュリスト22号229頁
       法学セミナー61巻10号115頁
       刑事法ジャーナル51号125頁
 弁護人竹永光太郎の上告趣意のうち,憲法31条違反をいう点は,児童福祉法34条1項6号の構成要件が所論のように不明確であるということはできないから,前提を欠き,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論に鑑み,職権で判断する。
 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,同法の趣旨(同法1条1項)に照らし,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいうと解するのが相当であり,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,同号にいう「淫行」に含まれる。
 そして,同号にいう「させる行為」とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが(最高裁昭和39年(あ)第2816号同40年4月30日第二小法廷決定・裁判集刑事155号595頁参照),そのような行為に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である。
 これを本件についてみると,原判決が是認する第1審判決が認定した事実によれば,同判示第1及び第2の各性交は,被害児童(当時16歳)を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であり,同児童が通う高等学校の常勤講師である被告人は,校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し,ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んでいることが認められる。このような事実関係の下では,被告人は,単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず,同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められる。したがって,被告人の行為は,同号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たり,同号違反の罪の成立を認めた原判断は,結論において正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小池 裕 裁判官 櫻井龍子 裁判官 山浦善樹 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人)

 この判例によると師弟関係がベースにあると、「させる」は認められやすく払拭するのは難しいと思います。

最高裁第一小法廷平28.6.21決定児童淫行罪_判タ_1452号_72頁
(3) 「させる行為」について
本決定が示した判断方法以上のとおり,「させる行為」の解釈が次第に変遷していく中で,「させる行為」の本質部分をどのように捉えるべきかや,その類型化をめぐる議論は,未だ十分に熟しているとはいい難い状況にあるように思われる。
そのような中,本決定は,「同号にいう『させる行為』とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいう」と判示し,昭和40年判例で示されていたとおり,「させる行為」該当性について,①「事実上の影響力」を児童に及ぼしているか,②児童が淫行をすることを助長し促進する行為であるか,の二つの観点から判断する解釈を踏襲する判示をし,その上で,「させる行為」に該当するかどうかについては,「行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である」と判示して,その判断方法を明らかにした。
本決定は,「淫行をさせる行為」が,立法当初の解釈に比べて相当に広範囲なものを含む解釈が定着している中で,本号による重い処罰にふさわしい行為に限定されていなければならないとの要請も満たしつつ,児童保護の観点からも適切な処罰範囲を画するため,本罪に該当するとされた裁判例の集積を踏まえ,「させる行為」を判断する際の具体的考慮要素を明示して判断方法を明らかにすることにより,処罰範囲の明確化を図ろうとしたものと思われる。
本決定によれば,「させる行為」に当たるかどうかを評価するに際しては,当該児童に及んでいる「事実上の影響力」の程度を踏まえた上で,「させる行為」と評価できるような「助長・促進行為」があるかどうかを,当該児童が淫行に及んだ具体的状況に照らして個別に検討していくことになろう。
4 本決定は,①本件各性交が,被害児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であること,②被告人と同児童との関係について,被告人が同児童(当時16歳)の通う高等学校の常勤講師であったこと,③被告人の具体的行為として,校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し,ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んだことを簡潔に指摘しており,本件においては,強力といえるような助長・促進行為はないものの,高校講師である被告人が被害児童に及ぼした「事実上の影響力」を踏まえれば,本件各性交をした行為が,「児童に淫行をさせる行為」に当たると判断されたものと考えられる。
ただし,この判断は,第1審判決が詳細に認定した具体的事実関係が前提とされている点にも留意すべきであろう。

元警官、淫行の無罪主張「恋愛感情に基づいていた」
[2018年10月24日18時18分]
https://www.nikkansports.com/general/news/201810240000626.html
18歳未満の少女にみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の罪に問われた元巡査部長、被告の初公判が24日、長野地裁(室橋雅仁裁判長)で開かれ、起訴内容を一部否認した。
被告は少女との行為を認めた上で「双方の恋愛感情に基づいていた」などと述べた。弁護側は、被告が警察官としての立場を利用したわけではないとし、無罪を主張した。
起訴状などによると、被告は県内の警察署の生活安全課に勤務していた2016年11月~17年3月に計4回、県内のホテルで、当時18歳未満だった少女にみだらな行為をしたとしている。
県警監察課によると、被告は16年8月、業務を通じて少女と知り合い、非番や休みの日に会っていた。17年3月に松本署に異動し少年非行防止などに当たっていたが、今年5月に逮捕され、懲戒免職となった。(共同)

内妻の娘に対する監護者性交1罪で懲役5年(長崎地裁H30.5.16)

 児童淫行罪に比べると2倍くらいの量刑です 

westlaw
裁判年月日 平成30年 5月16日 
裁判所名 長崎地裁 裁判区分 判決
事件名 監護者性交等被告事件
文献番号 2018WLJPCA05166004
主文
 被告人を懲役5年に処する。
 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
理由
 (犯罪事実)
 被告人は,平成29年8月当時,内縁の妻Aの娘であるB(当時16歳)と同居してその寝食の世話をし,その指導・監督をするなどして,同人を現に監護していた者であるが,Bが18歳未満の者であることを知りながら,同人と性交をしようと考え,平成29年8月25日から同月26日までの間に,福岡市〈以下省略〉において,Bを現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて同人と性交をした。
 (証拠の標目)(各証拠書類等に付記した番号は,検察官請求の証拠番号である。)
 (法令の適用)
 罰条
 被告人の判示行為は,刑法179条2項,177条前段に該当する。
 宣告刑の決定
 所定刑期の範囲内で,被告人を懲役5年に処する。
 未決勾留日数の算入
 刑法21条を適用して未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
 訴訟費用の処理
 訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させない。
 (量刑の理由)
 犯行態様は,被告人がAやBらとホテルに宿泊した際,隣のベッドにAらが寝ているにもかかわらず,同じベッドに寝ていたBと性交するというものであり,大胆かつ悪質である。しかも,被告人は避妊措置をとっておらず,その点でも非難は免れない。Bは,すぐ近くに実母であるAらが寝ている中で性交をするという異常な状況に置かれており,本件犯行により受けた精神的苦痛は非常に大きく,また,肉体的苦痛も軽視できない。犯行の動機も,自身の性欲を解消するとともに,Bの実母であるAらが横で寝ている状態でBと性行為に及ぶスリルを感じるためという身勝手極まりないもので,特に酌むべき事情はない。
 以上によれば,被告人の刑事責任は重く,酌量減軽を行うべき事情は見当たらないが,他方で,想定される監護者性交等の犯行態様の中で,本件をことさらに重く処罰すべき事情も存在しない。
 そして,被告人が公判廷において事実を認め,反省の弁を述べていること,Bとその家族に二度とかかわらない旨誓約していること,被告人に前科がないこと等の被告人に有利な事情が認められるので,それらの事情も考慮し,主文のとおりの刑に処するのが相当と判断した。
 (検察官大西杏理,国選弁護人中田昌夫各出席)
 (求刑―懲役6年)
 平成30年5月17日
 長崎地方裁判所刑事部
 (裁判長裁判官 小松本卓 裁判官 堀田佐紀 裁判官 佐野東吾)

被告人が、当時2歳の児童の鼻口部を手で塞ぐなどして、同人を窒息死させ、また、複数の児童にわいせつ行為等を繰り返したという保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件(最決H30.9.10)

 原審の東京高裁は、強制わいせつ罪(176条後段)と製造罪を観念的競合にしています。

判例ID】 28264522
【判示事項】 【事案概要】
被告人が、当時2歳の児童の鼻口部を手で塞ぐなどして、同人を窒息死させ、また、複数の児童にわいせつ行為等を繰り返したという保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件につき、被告人による上告が棄却された事例。
【裁判年月日等】 平成30年9月10日/最高裁判所第二小法廷/決定/平成30年(あ)280号
【事件名】 保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ誘拐、殺人、強制わいせつ致傷被告事件
【裁判結果】 棄却
【裁判官】 三浦守 鬼丸かおる 山本庸幸 菅野博之
【審級関連】 <控訴審>平成30年1月30日/東京高等裁判所/第6刑事部/判決/平成28年(う)1687号 判例ID:28260882
<第一審>平成28年7月20日/横浜地方裁判所/第4刑事部/判決/平成26年(わ)528号...等 判例ID:28243152
【出典】 D1-Law.com判例体系

護衛艦内の強制わいせつ2罪で懲役2年6月執行猶予3年保護観察(青森地裁H30.9.5)

 強制わいせつ罪の序列としては、「陰部に手指を挿入し」というのは悪質な方になります。
 裁判所から「性犯罪者処遇プログラムの受講等を通じて、認知のゆがみの改善を図ること」という注文が付くので、情状立証としても有効ということになります。

青森地方裁判所
平成30年09月05日
 上記の者に対する強制わいせつ被告事件について、当裁判所は、検察官佐藤慎也出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役2年6月に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、●●●(当時24歳)に強いてわいせつな行為をしようと考え、
第1 平成30年3月11日午後10時頃から同月12日午前1時頃までの間、広島県(以下略)A地区B岸壁に係留中の護衛艦●●●信号員待機所において、同人に対し、その背後から抱き付き、同人の下着内に手を差し入れて陰部を触り、さらに、その膣内に手指を挿入して弄ぶなどし、
第2 同日午後9時頃から同日午後9時55分頃までの間、前記護衛艦●●●艦橋情報機器室において、同人に対し、その背後から、その両胸を着衣の上から両手で揉むなどし、
もってそれぞれ強いてわいせつな行為をした。
(証拠の標目)
・「事件発生時の護衛艦●●●停泊地の住所等について報告」と題する書面(甲2)
(法令の適用)
・罰条
 第1及び第2の事実 それぞれ刑法176条前段
併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の重い第1の罪に対する刑に法定の加重)
・執行猶予 刑法25条1項
・保護観察 刑法25条の2第1項前段
(量刑の判断)
 被告人は、被害者の膣内に手指を挿入して弄ぶなど相当強度のわいせつ行為に及んだ上、翌日にもわいせつ行為を繰り返したものであり、暴行の程度自体が強くはないことなど弁護人が指摘する点を考慮しても、犯行態様は悪質である。
 もっとも、上記の犯情に加え、前科はないことをも考え併せれば、今回に限り社会内での更生の機会を与えることが許容され、反省していると認められることなどに照らし、主文の刑に処した上で、その執行を猶予するのが相当である。その上で、性犯罪者処遇プログラムの受講等を通じて、認知のゆがみの改善を図ることが再犯防止のために有用であるので、被告人を保護観察に付することとし、主文のとおり量刑した。
(求刑 懲役2年6月)
刑事部
 (裁判官 木口麻衣)

逮捕の必要性~柏崎簡易裁判所判事恩田剛「逮捕勾留プラクテイス」

 出頭しないで居ると、逮捕の必要性が増すそうです

第5 逮捕の必要性
l 犯罪発覚後相当期間を経過しての逮捕状請求
問題21
被疑者の尿から, a-PVPの成分が検出された旨の鑑定書があるが, その鑑定書が作成されたのが3か月前のものである場合,逮捕状の請求に当たり留意すべき点は何か。
結論
逮捕の必要性の有無に留意すべきです。
解説
発覚した犯罪の事案の軽重にもよりますし, また,捜査の実情としてみた場合‘捜査官署が管轄する地域での他の事件の発生状況等捜査の繁忙度にも大きく影響してくるところではありますが. そうはいっても,犯罪発覚後いつでも逮捕状を請求してもよいというものではありません。
被疑者に住居があり,請求までの期間に,罪証隠滅や逃亡の気配がなく,その後もそれらのおそれがほぼ認められないというケースでは,その期間が長期化すればするほど,逮捕の必要性は低くなっていくということもいえますし, 請求までの期間の長短は刑訴規則143条の3に規定する逮捕の必要性の判断基準としての「その他諸般の事情」として考慮されるものと考えられます。
本設問の事例は, いわゆる危険ドラッグの使用事案であり, 近年社会問題となっていることに加え, こうした薬物使用による重大交通事故の発生等,社会に与える影響も大きく, その犯罪結果が重大であることも多いことから,処罰の厳罰化が進んでいること,事案の性質上逮捕密行性の高い薬物犯罪であり罪証隠滅が比較的容易であることなどから, 一般的に,逮捕の必要性が高いものと思われます。
個々の具体的事案にもよりますが.本設問のような薬物使用の事案では,尿鑑定から逮捕状の請求まで3か月経過したということだけでは,単に立件を忘れて事件を放置したような場合を除いて,直ちに明らかに逮捕の必要がないとはいえないものと思われます。
いずれにしても,期間の経過は,逮捕の必要性判断に影響を与えるので,請求に当たっては慎重で速やかな対応が必要になります。

2比較的軽微な事件の被疑者が捜査機関の出頭要請に応じない場合の逮捕の必要性
問題22
一般道で時速25キロメートル超過の速度違反をした道路交通法違反の被疑者が, 反則金を納付しないまま,警察官からの3回にわたる呼び出しに,何らの理由も告げずに出頭しない場合,逮捕の必要性は認められるか。
結論
住居や職業等の諸般の事情を総合考慮した上で,逮捕の必要性が認められる場合があります。
本設問のような比較的軽微な道路交通法違反は. そもそもの法定刑も懲役6月以下又は罰金10万円以下と低く(道交法22条1項118条1項1号), その速度も一般道で時速25キロメートル超過ですから本来反則事件ですが,被疑者が告知通告を無視し,反則金を納めずにいる-68-第1章通常逮捕などのケースでは, その後の任意の呼び出しにも応じないということも少なくありません。
そこでこうした被疑者については.逮捕をすべきかを検討しなければならなくなるわけですが, このような場合.逮捕の必要性の観点から,正当な理由のない不出頭(以下,特に断らない限り「不出頭」という。)をいかに考えるかについては,大きく分けて従来から以下のような考え方があります。
A説:罪証隠滅又は逃亡のおそれとは別に,不出頭それ自体で逮捕の必要性が認められるとするもの
B説:不出頭の回数が増えていくに従い,罪証隠滅又は逃亡のおそれが高まり,逮捕の必要性も強くなるとするもの
C説:不出頭は逮捕の必要性を認める事由にならないとするもの
 刑訴規則143条の3において「被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし,被疑者が逃亡する虞がなく,かつ.罪証を隠滅する虞がない『等』明らかに逮捕の必要がないと認めるときは,逮捕状の請求を却下しなければならない。」と規定されていますが, A説によれば, この『等』があるのは,逮捕の必要性の判断基準として逃亡又は罪証隠滅のおそれのほかにも, 正当な理由のない不出頭等これに準ずる事情がある場合をも含む趣旨であるとされ,この考え方によれば,不出頭により逮捕の必要性が認められることになります。
しかし, このA説の考え方には否定的な見解が多いです。
B説によれば, 『等』については,逃亡又は罪証隠滅のおそれはないが,被疑者を逮捕してまで取り調べることが健全な社会常識に照らして明らかに相当性を欠くと認められるような特段の事情が存在する場合を指しているものと考えることになります。
このB説の考え方によれば,不出頭は直ちには逮捕の必要性を認める事情にはなりません。
ただし,正当な理由のない不出頭は,逃亡又は罪証隠滅のおそれを推測する一つの徴表たる事実であることは間違いないので, こうした不出頭を何度も繰り返すようであれば, その回数によっては逃亡又は罪証隠滅のおそれが強くなるものと考えられるので,逮捕の必要性を認める事情の一つになり, これに被疑者の生活状況や職業の有無等のほかの事情を併せて考慮し逮捕の必要性が認められることもあるということになります。
他方, C説によれば,不出頭は逮捕の必要性とは一切関連しないという考え方になりますが, これは理論上も実務的にも妥当とは言い難いというべきでしょう。
判例によれば, 旧外国人登録法違反(指紋押なつ拒否事件)で逮捕された外国人が逮捕されたことを違法として国家賠償法に基づき損害賠償を請求した事件で,警察官から5回にわたり任意出頭を求められたにもかかわらず,正当な理由なく出頭せず,被疑者の行動に組織的な背景が存することがうかがわれるなどした事情があったことから.明らかに逮捕の必要がなかったとはいえない旨判示していますが(最判平10~9.7裁判集189.613), これはB説の見解と概ね同じものだということができます。
従前の実務も概ねB説の見解によってきたものと思われます。
請求側・捜査側の留意点
逮捕の必要性を認める一つの事情となる程度に至る不出頭の回数は,実務的には, 4~5回,少なくとも3回は必要だと考えられています(前掲判例の事案では5回です。)。
ですから,呼出の経緯不出頭の結果その間に被疑者から何らの連絡がないなどの被疑者の対応を記載して報告書にするとともに, これに,呼出状の写し,地域課警察官への調査依頼とその調査結果,電話聴取報告書等の疎明資料を添付するなどして, その不出頭状況を明確にしておくことが望ましいといえます。
また,上記報告書に,不出頭状況に加え,被疑者が暴言を吐くなどし強硬に出頭を拒絶している態度, そのほかの逮捕の必要性(単身であり定職がないこと, 職業運転手であり免許取消し等の行政処分を受け解雇されるおそれがあること,経済的に破綻していることなど)について判明している限りで記載しておくと さらに参考になるものと思われます。

刑事下級審における判例・裁判例の引用方法

 使えそうな判決書を持ってきても、検察官が不同意にすることがある。
 判例を証拠で出すには法323条3号くらいしか規定がないのだが、検察官が「別の事件であって関連性がない」なんて言う。
 上告理由として判例違反を主張するときの判例の摘示の方法(規則253)を見ると、だいたい立証の必要はないようで、判決特定事項と概要とを記載すればいいようなので、最近では、未公開の裁判例であっても、主張書面や弁論要旨で、判決を特定した上で、必要なだけ引用することにしている。本文で長々と引用すると流れがわからなくなるときは注釈に落としておく。

第三二三条[公務文書、業務文書、特信文書]
 前三条に掲げる書面以外の書面は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。
一 戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面
二 商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面
三 前二号に掲げるものの外特に信用すべき情況の下に作成された書面

刑事訴訟法第四〇五条[上告のできる判決、上告申立理由]
 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
二 最高裁判所判例と相反する判断をしたこと。
三 最高裁判所判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所判例と相反する判断をしたこと。

規則第二五三条(判例の摘示)
 判例と相反する判断をしたことを理由として上告の申立をした場合には、上告趣意書にその判例を具体的に示さなければならない。


模範六法
1 判例を具体的に明示していないときは、上告理由として不適法である。(最判昭28・5・19刑集七━五━一〇四七)(最判昭33・2・20刑集一二━二━二六九)⇒刑訴四〇〇条(25)

2 「大正一五年九月二五日の判例」というだけでは、判例を具体的に示したものではない。(最判昭26・11・27判タ一七━五〇)

3 判例を示してあっても、原判決がいかなる趣旨で右判例に反するかの具体的説明を欠いているときは、判例違反の主張として不適法である。(最判昭29・4・6裁判集刑九四━一二五)

4 判例違反を主張する場合には、裁判所名、事件番号、裁判年月日、掲載文書名、掲載個所等を指示してその判例を具体的に示すべきである。(最決昭45・2・4判時五八八━九五)

5 裁判所名および言渡日のみを指摘するにとどまる判例違反の主張は、判例の具体的な摘示があるとはいえない。(最決昭49・3・14判時七三三━一一三)

児童ポルノ動画5点所持→罰金30万円→停職3月・依願退職

 DVDじゃないのも出てきましたね。
 媒体の物理的破壊をお勧めしています。

小学校教諭ら懲戒処分 /宮城県
2018.10.20 朝日新聞社
 県教育委員会は19日、仙南地域の小学校の男性教諭(56)が児童ポルノの動画を所持していたとして、停職3カ月の懲戒処分にし、発表した。教諭は「大学生の頃から子供に性的嗜好(しこう)があった」と話しているといい、同日依願退職した。

 県教委によると教諭は今年4月3日、児童ポルノの動画データを所持したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で大河原簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた。教え子がわいせつ目的で撮影された様子はないという。

。。。
児童ポルノ 教諭停職/部活で体罰の教諭減給/県教委/
2018.10.20 河北新報記事情報 16頁 河北新報 (全539字) 
児童ポルノ 教諭停職/部活で体罰の教諭減給/県教委

 県教委は19日、教員2人の懲戒処分を発表した。児童買春・ポルノ禁止法違反(所持)の罪で罰金30万円の略式命令を受けた大河原教育事務所管内の小学校の男性教諭(56)を停職3カ月、部活動指導で体罰を繰り返した仙南地域の高校の女性教諭(43)を減給10の1(9カ月)とした。児童買春・ポルノ禁止法違反での教職員の懲戒処分は初めて。

 県教委によると、男性教諭は2月、児童ポルノの動画5点を収めた外付けハードディスク1台を所持したとして角田署に書類送検され、4月に略式命令を受けた。昨年3月にインターネットで動画を購入した。

 男性教諭は「1996、97年ごろから児童ポルノの動画を収集していた。違法性は認識していたが、処分できなかった」と話しているという。19日付で依願退職した。

監護者性交罪数罪で懲役6年(千葉地裁H30.10.18)

 併合罪加重されていると思いますが、併合罪にしておいて、「高学年の頃から繰り返し行為に及んでおり」として起訴されてない余罪(訴追可能性がある事実)を考慮して重い刑にされることに警戒する必要があります。
 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)であれば、3~4年の実刑だと思います

https://www.chibanippo.co.jp/news/national/540526
配偶者の子ども(養女)にみだらな行為をしたとして、監護者性交罪に問われた千葉県内に住む40代のトラック運転手の男に千葉地裁は18日、懲役6年(求刑懲役7年)の実刑判決を言い渡した。同罪は昨年7月に施行され、親など監護者が18歳未満にみだらな行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰することができる。同罪の判決は県内で初めて。

 判決によると、養女=当時高校1年(16)=が18歳未満と知りながら今年2~3月、コンビニ駐車場に止めたトラックの後部座席や自宅で、監護者の立場に乗じてみだらな行為をした。

 楡井英夫裁判長は判決理由で「養女の家族関係を壊したくないとの心情につけ込むなどした卑劣で悪質な犯行で、心身の健全な育成に大きな悪影響を与えた。小学校高学年の頃から繰り返し行為に及んでおり、強い非難に値する」とした。

 公判は被害者保護を理由に、被告人の氏名などを伏せて審理された。

監護者性交罪数罪で懲役6年(千葉地裁H30.10.18)

 併合罪加重されていると思いますが、併合罪にしておいて、「高学年の頃から繰り返し行為に及んでおり」として起訴されてない余罪(訴追可能性がある事実)を考慮して重い刑にされることに警戒する必要があります。
 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)であれば、3~4年の実刑だと思います

https://www.chibanippo.co.jp/news/national/540526
配偶者の子ども(養女)にみだらな行為をしたとして、監護者性交罪に問われた千葉県内に住む40代のトラック運転手の男に千葉地裁は18日、懲役6年(求刑懲役7年)の実刑判決を言い渡した。同罪は昨年7月に施行され、親など監護者が18歳未満にみだらな行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰することができる。同罪の判決は県内で初めて。

 判決によると、養女=当時高校1年(16)=が18歳未満と知りながら今年2~3月、コンビニ駐車場に止めたトラックの後部座席や自宅で、監護者の立場に乗じてみだらな行為をした。

 楡井英夫裁判長は判決理由で「養女の家族関係を壊したくないとの心情につけ込むなどした卑劣で悪質な犯行で、心身の健全な育成に大きな悪影響を与えた。小学校高学年の頃から繰り返し行為に及んでおり、強い非難に値する」とした。

 公判は被害者保護を理由に、被告人の氏名などを伏せて審理された。

児童に半裸の姿態をとらせてひそかに撮影した行為をひそかに製造罪にした事例(某地裁某支部h28)

 姿態をとらせてといのだから、姿態をとらせて製造罪(7条4項)が正解です。5項の法文が「前二項に規定するもののほか」となっているので、ひそかに製造罪は成立しません。
 大分簡裁や新潟地裁にも間違った略式命令・判決があります。
 間違える検察官・裁判官がいると思って、わざと大阪高裁で聞いてあります。

某地裁某支部h28
A子(17)が、18歳に満たない児童であることを知りながら 大阪市北区西天満の被告人方において、平成30年10月19日頃 同児童を上半身裸にして乳房を露出させ、ひそかにその姿態をカメラ機能付き携帯電話で撮影してその電磁的記録を同携帯電話本体に記録させ、もって、ひそかに衣服の一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激する姿態をとらせて これを電磁的記録にかかる記録媒体に描写することにより、同児童にかかる児童ポルノを製造した
法令適用
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項 2項 2条3項3号

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

阪高平成28年10月26日
強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
主    文
 原判決を破棄する。
3 第10,第12及び第13の各2の事実における法令適用の誤りの主張について
 論旨は,第10,第12及び第13の各2の製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
 しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。
平成28年10月31日
  大阪高等裁判所第2刑事部
      裁判長裁判官 後藤眞理子
         裁判官 杉田友宏
         裁判官 樋上慎二

大分県・青少年の健全な育成に関する条例の改正に関する県民意見募集について

大分県も自撮り要求禁止を盛り込む方向です。
https://www.pref.oita.jp/soshiki/13255/seisyounenkennzennikuseijyourei.html

 「児童」と「青少年」が混在していて、18歳未満で婚姻している場合とか「営業を許された18未満の者は、「児童」ですけど大分県条例の「青少年」には該当しません。この場合児童ポルノ要求行為は処罰できないので、改正の趣旨は達成できません。

大分県青少年の健全な育成に関する条例の解説H25
(2) 第1号中「他の法令により成年者と同一の能力を有する者」とは、民法明治29年法律第89号)第6条の規定により行為能力を認められた18歳未満の男女及び同法第753条の規定により成人に達したものとみなされる婚姻している16歳以上の女子がこれに当たる。
・・・
民法
第六条(未成年者の営業の許可)
1 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
第七五三条(婚姻による成年擬制
 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

青少年の健全な育成に関する条例(昭和41年大分県条例第40号)
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 青少年 18歳未満の者(他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除く。)をいう。

。。。。
https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2034240.pdf
(青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)(新設)
第三十七条の二
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為を行ってはならない。
一青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ(以下単に「児童ポルノ」という。)又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
二青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること
(罰則)
第四十七条
4第三十七条の二の規定に違反した者は、三十万円以下の罰金又(新設)は科料に処する

「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の解釈及び運用について」の全部改正についてh29版

 強制わいせつ罪とか軽犯罪法との関係を見たいのでもらってきました。
 軽犯罪法との関係では、検察庁から指摘されて修正されています。

大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の解釈及び運用について」の全部改正について
平成I7年11月25日
例規(生総・保・刑総・捜四)第111号
最近改正平成29年6月30日例規(生総)第70号
第6 卑わいな行為の禁止(第6条関係)
1 この条は、痴漢行為、のぞき見行為、盗撮行為、盗撮の目的で写真機、ピデオカメラ、デジタルカメラ等の機器(以下「写真機等」という。)を人に向ける行為又は設磁する行為等卑わいな行為を規制することにより、人に羞恥心又は不安感を抱かせる行為を防止し、個人の意思及び行動の自由を保護しようとするものである。
2 第1項関係
この項は、公共の場所又は公共の乗物における卑わいな行為等を規制するものである。
3 第1項第1号関係
(1) 「人」とは、自然人をいい、性別、年齢又は国籍を問わない。
(2) 「著しく」の程度は、具体的にどの程度と明示することは非常に困難であるが、社会通念上、容認し難い程度のものであれば足りる。
(3) 「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を党えさせるような」とは、社会通念上人に著しく性的恥じらいを感知させ、又は不安を此えさせるであろう程度のことをいい、被行為者が行われた言動を原則として認識する必要はあるが、当該言動によって実際に性的恥じらいを感知し、又は不安を党えたか否かは問わない。したがって、当該言動によって性的恥じらいを感知し、又は不安を党えたかどうかは、社会通念上客観的に判断する(第1項第2号及び第4号並びに第3項において同じ。) 。これは、■■■■■■■■■■■■■■■■について、当該女性が、著しく性的恥じらいを覚え、又は不安を覚えたと主張した際に、当該行為を処罰対象から除外する必要があるからである。
なお、ここにいう被行為者とは、言動の直接的な対象となった人はもとより、言動の直接的な対象となった人が当該言動の内容を理解できない場合において、それを理解し得る能力があり、かつ、当該言動を認識し得る状態にある間接的な対象となった他の人も含まれる。
(4) この号の「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を党えさせるような方法で」行われる卑わいな行為の被行為者は、衣服等を貯用している者である(第1項第2号及び第4号、第3項並びに第4項(第1項第2号又は第3項に係る場合に限る。)において同じ。)。
(6) 「衣服等」の「等」とは、人が身にまとっているバスタオル等をいう。
4 第1項第2号関係
(1) 「おける」とは、被行為者については公共の場所又は公共の乗物に存在するが、行為者がいずれの場所に存在しているかを問わないことを意味している。例えば、公共の場所である公園のベンチに座っている人の下着を、当該公園に隣接するピルの一室から望遠レンズ付きの写真機で撮影する場合等がこれに当たる。
(2) 「衣服等で毅われている内側の人の身体又は下着」とは、人が衣服等により隠している身体の部分又は下着(以下「下着等」という。)のことをいう(第3項において同じ。) 。
(3) 「見」とは、下猜等をのぞき見る行為をいい、例えば、かがみ込み、寝そべり、若しくはスカート等をまくり上げてのぞき見る行為又は階段の下から女性のスカート内をのぞき見る行為のほか、手鏡、ファイバースコープ等の器具を使用してのぞき見る行為等がこれに当たる(第1項第3号及び第3項において同じ。)。
(4) 「撮影する」とは、写真機等を利用して、被写体をフィルム、電磁的記録媒体等に記録することをいう(第1項第3号、第2項及び第3項並びに第8条において同じ。)。
5 第1項第3号関係
(1) 「みだりに」とは、被行為者にとって不当にということを意味し、不当かどうかについては、被行為者の主観的判断に委ねられており、被行為者の同意を得ている場合等は含まない(第2項において同じ。)。これは、写真機等を使用して衣服等を透かして裸体等の映像を見、又は撮影する行為は、客親的に判断すれば、おおよそ不当な行為であることから、規制の対象となるか否かは、被行為者が主観的に不当であると判断することが必要となる。例えば、悔水浴場で、雑誌に掲載する写真の撮影のため、薄手の衣服等を活用している女性に対し、写真機等を使用して透かして裸体等の映像を見、又は撮影する行為について、客観的に判断すれば、おおよそ不当な行為であるが、当該女性の同意があれば、本号違反で処罰することはできない。
(2) この号の「みだりに」行われる卑わいな行為の被行為者は、衣服等を着用しているが、写真機等を使用して透かして見ることにより、実質的に衣服等を着用していないと判断できる者である。
(3) 「写真機等を使用して透かして見る」とは、赤外線装置を取り付けた写真機等を使用して、水着等の薄い衣服を透かして裸体等を見ることをいう。
(4) 「映像を見」とは、赤外線装骰を取り付けた写真機等に映し出された、衣服が透けた裸体等を見ることをいう。
6 第1項第4号関係
(1) この号は、第1号から第3号までに具体的に掲げられた行為のほか、「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を党えさせるような卑わいな言動」を規制するものである。
(2) 「卑わいな」とは、いやらしくみだらで、社会通念上、人に性的羞恥心を抱かせ、嫌悪感を催させ、又は不安を党えさせるに足りることをいい、刑法上の「わいせつ」よりも広い概念である(第8条及び第9条において同じ。)。
7 第2項関係
(1) 軽犯罪法(昭和23年法律第39号)第1条第23号において、人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服を着けないでいるような場所をひそかにのぞき見る行為を禁止しているのに対し、この項は、公衆が利用することができる公衆浴場等における衣服の全部又は一部を着けない状態にある人を撮影する行為を対象として禁止している。
(2) 「公衆浴場」とは、公衆浴場法(昭和28年法律第139号)第1条に規定する公衆浴場をいう。
(3) 「公衆便所」とは、公園内、道路端等に設四されている公衆の用に供する便所をいう。
(4) 「公衆が利用することができる更衣室」とは、海水浴場、公衆の遊泳に供するプール等に設置された更衣室をいう。
(5) 「その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所」とは、旅館、ホテル等に設附された宿泊客用の大浴場、百貨店、スーパーマーケット等に設附された来客用の便所等をいう。
(6) 「当該状態にある人の姿態」とは、公衆浴場等で衣服を脱ぎつつある人若しくは着装しつつある人又は裸体でいる人の姿態をいう。
8 第3項関係
(1) この項は、公共の場所又は公共の乗物以外の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物におけるのぞき見行為及び盗撮行為を規制するものである。
(2) 「不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)」とは、不特定又は多数の者が、出入りし、又は利用しようとする場所等の所有者、管理者等の承認(黙示のものを含む。)の下に、当該場所等の本来の用途に従って出入りし、又は利用するような場所等をいう。したがって、例示されたもののほか、例えば、ネットカフェ(インターネットを利用することができる端末装附を設附して客の利用に供する施設をいう。)の個室、病院の診察室、貸切バス等がこれに当たる。
なお、■■■■■■■■■■■■■■■■は、「不特定又は多数の者が利用するような場所」に含まれない。
9 第4項関係
(1) この項は、第1項第2号及び第3号、第2項並びに第3項の規定により規制している撮影行為の目的で、人に写真機等を向け、又は設四する行為を規制するものである。
(2) 「撮影の目的」とは、下治等又は衣服の全部若しくは一部を着けない状態にある人の姿態を盗撮する目的のことをいい、その有無は、行為者の供述又は向けられ、若しくは設置された写真機等による撮影状況等を総合的に勘案して判断する。
(3) 「人に写真機等を向け」とは、下着等又は衣服の全部若しくは一部を珀けない状態でいる人の姿態が撮影できる状態に写真機等のレンズを向ける行為をいう。
(4) 「設置し」とは、下着等又は衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる人の姿態が撮影できる状態に写真機等を設置することをいう

青少年条例違反につき「わいせつ目的ではなく、体のアフターケアのためにやった」という弁解

 いま青少年わいせつ事件の弁護人です。
 逮捕状の被疑事実に「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような」という記載があるので、こういう弁解が出ることがあります。

 千葉県条例の法文は、大法廷S60をそのまま引用したもので。難解です

千葉県青少年健全育成条例の解説H17
第20条 
1何人も、青少年に対し、威迫し、欺き、又は困惑させる等青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはならない。

福岡県青少年保護育成条例違反被告事件
最高裁判所大法廷 昭和60年10月23日
右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例10条1項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である

 強制わいせつ罪の関係では、大法廷H29.11.29以降、「わいせつな行為とは、いたずらに性欲を刺激又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゅう恥心・嫌悪の情をおこさせる行為をいう。」という定義は採らないことになって、定義が定まらず迷走中ですが、青少年条例の関係ではいまなお「わいせつな行為とは、いたずらに性欲を刺激又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゅう恥心・嫌悪の情をおこさせる行為をいう。」とされています。さらに、大法廷S60の限定はわいせつ行為にもかかるので、「わいせつな行為とは、いたずらに性欲を刺激又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゅう恥心・嫌悪の情をおこさせる行為であって、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないようなもの」ということになりますが、保護法益の関係で性的意図を要求する理由はないので、この定義も再定義の必要があります。
 青少年わいせつ罪については、大法廷S60で性的意図が要求され、大法廷H29では性的意図不要とされているような感じになり、混沌としています。
 こう理解すると、「わいせつ目的ではなく、体のアフターケアのためにやった」というのは、「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないようなもの」という部分の否認になって、この弁解が通れば、青少年条例違反罪にはならないことになります。

https://www.pref.chiba.lg.jp/kkbunka/kenzenikusei/jourei-gaiyou/#%E7%AC%AC20%E6%9D%A1%E3%80%80%E3%81%BF%E3%81%A0%E3%82%89%E3%81%AA%E6%80%A7%E8%A1%8C%E7%82%BA%E7%AD%89%E3%81%AE%E7%A6%81%E6%AD%A2
第20条みだらな性行為等の禁止
だれでも青少年に対し、威迫し、欺き、又は困惑させる等青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか、単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはいけません。

(違反すると、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)

※青少年であることを知らなかったことを理由に、処罰を免れることはできません。

千葉県青少年健全育成条例の解説H17
27 みだらな性行為等の禁止(第20条)
(みだらな性行為等の禁止)
第20条 
1何人も、青少年に対し、威迫し、欺き、又は困惑させる等青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
    追加〔昭和60年条例第36号〕、一部改正〔平成6年条例第8号〕、
全部改正〔平成17年条例第22号〕
【解説】
 本条は、性行為やわいせつな行為が未成熟な青少年に与える痛手・影響の大きさを考えて、このような行為から青少年を保護するために、動機及び手段において社会通念上非難を受けるべき性質の性行為やわいせつな行為に限定して禁止するものであり、青少年の性をもてあそぶ心ない成人から青少年を保護するために設けたものであるが、平成11年11月1日に児童買春法が施行され、対償を供与又は供与の約束を伴う買春が禁止されたことにより、同法との整合性を図るため本条の改正が求められていた。
 このことから、同法の対象とならない対償の供与等を伴わない不当な手段(威迫し、欺き、又は困惑など)によって単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為又はわいせつな行為については、同法を補完し、本条例で規制するようにした。
1 第1項
(1) 何人もとは、県民はもとより旅行者、滞在者を含み、また、成人であると少年であるとを問わず、現に県内にいるすべての者をいう。
(2) 本条の対象となる青少年とは、すなわち小学校就学の始期から18歳に達するまでの者をいい、婚姻による成年に達したものとみなされる者は除く。
(3) 威迫とは、言動、態度等により相手方に心理的威圧を加え、不安の念をいだかせることをいう。 
(4) 欺きとは、嘘を言って相手を錯誤に陥らしめ、又は真実を隠して錯誤に陥らしめる一切の行為をいう。
(5) 困惑させてとは、立場を利用した言動や態度により相手を惑い困らせ、精神的に自由な判断ができないようにすることをいう。
具体的には、債権債務関係、雇用関係等特殊な関係を利用して義理人情の機微につけ込む場合等が考えられる。
(6) 単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為とは、青少年との真摯な関係がない性行為をいう。ここでいう性行為とは、性交のほか性交と同視できる性交類似行為を含む。
(7) わいせつな行為とは、いたずらに性欲を刺激又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゅう恥心・嫌悪の情をおこさせる行為をいう。本項の例としては、陰部に手をふれたり、単なる性欲の目的を達するためにのみ行う接吻、乳房を撫でること等がこれに当たる。
罰 則 違反した者は、、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される。(第28条第1項)

http://www.chibanippo.co.jp/news/national/539793
逮捕容疑は8月3日、県内に住む女子中学生が18歳未満と知りながら、メールなどで県内のホテルに誘い出し、体を触るなどみだらな行為をした疑い。
 同課によると「わいせつ目的ではなく、体のアフターケアのためにやった」と供述している。女子中学生から相談を受けた行政機関が今年9月、県警に相談して発覚した。
 香取市教育委員会学校教育課の大平伸一課長は「児童生徒に関係する案件なので、現段階でコメントはできない」と話した。

青少年淫行行為に伴う盗撮ハメ撮り行為につき、ひそかに製造罪(7条5項)を適用して実刑とした事例(某地裁h28)

 
 撮影しながら性交するというのは、被告人と性交する姿態を取らせていることになるので、姿態をとらせて製造罪(7条4項)が正解です。5項の法文が「前二項に規定するもののほか」となっているので、ひそかに製造罪は成立しません。
 被告人も弁護人も判決書を見てないと思いますが、実刑なんだから、控訴すれば破棄されて少なくとも法定通算がもらえたと思います。
 大分簡裁にも間違った略式命令があります。
 間違える検察官・裁判官がいると思って、わざと大阪高裁で聞いてあります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

阪高平成28年10月26日
強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
主    文
 原判決を破棄する。
3 第10,第12及び第13の各2の事実における法令適用の誤りの主張について
 論旨は,第10,第12及び第13の各2の製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
 しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。
平成28年10月31日
  大阪高等裁判所第2刑事部
      裁判長裁判官 後藤眞理子
         裁判官 杉田友宏
         裁判官 樋上慎二

 
 判示第2の1は、姿態をとらせて製造罪が正解で、第2の2の姿態をとらせて製造罪とは包括一罪になります。

某地裁H28
実刑
第1 平成30年10月16日 兵庫県の被告人方において、A16が、18歳に満たない青少年であることを知りながら 性欲目的で性交し、もって青少年とみだらな性行為をした
第2 前記第1の日時場所において 前記A16が児童であることを知りながら
1 ひそかに 同児童に被告人との性交を行う姿態をとらせこれを被告人のタブレット端末で動画撮影して 動画データを内臓記録装置に保存して、もって ひそかに1号 ひそかに製造罪 もってひそかに児童を相手方とする性交に係る姿態を視覚により認識できる方法により描画することによって 児童ポルノを製造した
2 A16に性器等露出させる姿態とらせて 被告人の携帯で撮影して 2号3号 姿態をとらせて製造罪
法令適用
第1の行為 兵庫県青少年条例違反
第2の1の行為 7条5校 2項前段 2条3項1号
第2の2の行為 包括して7条4項 2項前段 2条3項2号3号
併合罪の処理
併合罪(重い第2の1の罪に加重)

教員による強制わいせつ罪(176条後段)・製造で求刑3年6月(熊本地裁H30.10.26)

 量刑相場としては、4回あるとほぼ実刑になります。

6/24 盗撮逮捕
7/17 強制わいせつ罪(176条後段)逮捕
9/22 第1回 姿態をとらせて製造罪も起訴
10/12 第2回 論告弁論
10/26 判決
という経緯なので、実刑求刑なのに全く争っていないようです。

 
 製造罪は包括一罪、強制わいせつ罪(176条後段)は併合罪だから、製造罪と強制わいせつ罪が観念的競合になると、かすがい現象で科刑上一罪になってしまう事案です。処断刑期が変わってくるので、議論尽くして欲しいところです。



元小学校教諭に3年6月求刑=熊本
2018.10.13 読売新聞
 強制わいせつ罪などに問われた元教諭被告の論告求刑公判が12日、熊本地裁(鈴木悠裁判官)であった。検察側は懲役3年6月を求刑し、結審した。判決は26日。
 起訴状では、被告は2015年10月~16年3月頃の計4回、自らの体を女児に触らせるなどのわいせつ行為をした、などとしている。
 検察は論告で「教師という立場にありながら、自らの性的欲求を満たすための卑劣な犯行」と指摘。弁護側は「懲戒免職となり、社会的制裁を受けた。本人も深く反省している」として執行猶予付きの判決を求めた。

女児にわいせつ、起訴内容認める 元小学校教諭 初公判 /熊本県
2018.09.22 朝日新聞
 勤務する水俣市の小学校に通う女子児童にわいせつな行為をし、その様子を動画撮影したとして、強制わいせつと、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪に問われた元小学校教諭、被告=、7月2日付で懲戒免職=の初公判が21日、熊本地裁(鈴木悠裁判官)であった。被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 検察側の冒頭陳述によると、被告は15年10月ごろから16年3月ごろの間に4回にわたり、露出した自身の性器を女子児童に触らせるなどのわいせつな行為をし、所有するデジタルカメラで動画を撮影して保存していたという。児童には「内緒にしておいて」と言っていたと明らかにした。
 被告は被告人質問で、犯行の動機について「誰かに触ってもらいたいという欲求があった」とし、「自己中心的な考えでお子さんや親御さんの思いを無視し、人間として未熟な行為をした」と述べた。

女児にわいせつ容疑で教諭逮捕 水俣署=熊本・続報注意
2018.07.18 読売
 水俣署は17日、小教諭容疑者を強制わいせつ容疑で逮捕した。
 発表では、2015年4月頃、県南の建物内で、自分の体を女児に触らせるなどのわいせつ行為をした疑い。「弁護士と相談するまで話したくない」と供述しているという。
 容疑者は6月、同市内の飲食店のトイレで女性を盗撮したとして県迷惑行為等防止条例違反容疑で逮捕された。熊本地検が釈放し、在宅で捜査を続けていたところ、女児側が同署に被害を届け出たという。
 県教育委員会の手島和生・学校人事課長は「教職員による不祥事が続く中での逮捕は誠に遺憾。早急に事実を把握し、厳正に対処する」とのコメントを出した。

教諭を盗撮容疑で逮捕=熊本・続報注意
2018.06.25 読売
 水俣署は24日、小学校教諭容疑者を県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)容疑で逮捕した。
 発表では、23日午後9時半頃、同市内の飲食店にあるトイレの個室で、隣の個室に間仕切り下の隙間からスマートフォンを差し入れ、女性を動画で盗撮した疑い。容疑者は容疑を認めているという。トイレは男女共用で、個室が並んで二つあり、女性がスマホに気付いて、店側を通じて署に通報した。容疑者のスマホには別の女性の動画も残っているという。