児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「「わいせつな行為」とは、徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいう」大塚ら基本刑法Ⅱ各論

 保護法益を前提とすると、わいせつ=性的自由(性的蕾恥心を抱くような性的事項についての自己決定の自由)を害する行為になって、性欲要件は含まないはずですが。

大塚ら基本刑法Ⅱ各論
p70
強制わいせつ罪等の保護法益は、通説によれば、性的自由(性的蕾恥心を抱くような性的事項についての自己決定の自由)である。

p72
cわいせつな行為
「わいせつな行為」とは、徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいう(下線。)。例えば、無理やりキスしたり、陰部に手を触れたり、裸にして写真を撮ったりすることである。
本罪のわいせつは、個人の性的自由との関係が重要なので、性的風俗との関係が問題になる公然わいせつ罪におけるわいせつよりも広い概念である。例えば、公然わいせつ罪との関係では、不特定または多数人がその様子を見てどのように感じるかが重要なので、現代においては「相手方の意思に反して人前でキスすること」がわいせつだとはされないであろうが、強制わいせつ罪との関係では、相手方がどのように感じるかが重要なので、「相手方の意思に反して人前でキスすること」はわいせつであるとして強制わいせつ罪が成立するのである(東京高判昭32・l ・22判時103号28頁)。


p73
さらに、本罪の成立のために、主観的違法要素としてわいせつ傾向(性的意図)が必要かについては、争いがある。性的意図なく、例えば報復目的で相手の性的差恥心を害する行為をした場合、必要説は、暴行罪や強要罪にはなりえても強制わいせつ罪にはならないとする。例えば、産婦人科医の治療行為によって患者の女性は性的差恥心を害されることがあるかもしれないが、産婦人科医が性的意図なく治療の意図で治療行為をしたのであれば強制わいせつ罪の構成要件該当性を認めるべきではない。このように治療行為との区別をするため、強制わいせつ罪成立には主観的違法要素として「性的意図」が必要であると考えるのである。この説からは、【事例2】のXには、強制わいせつ罪は成立せず、強要罪が成立することになる。これに対して、不要説は、被害者の性的自由・性的差恥心は行為者の性的意図の有無と関わりなく害されうるのであるから、被害者の性的自由が害された以上は強制わいせつ罪が成立するとする。この説からは、【事例2】のXには、強制わいせつ罪が成立することになる。
判例はかつて必要説に立っていた。報復目的で23歳の女性を裸にして写真撮影したという事案において、強制わいせつ罪が成立するためには「犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要」するとして、強制わいせつ罪の成立を否定していたのである(最判昭45・1 ・29刑集24巻1号1頁く百14,講18、プ104>)。しかし、近年、判例変更が行われ、不要説に立つことが明らかになった。【事例2】のような事案において、最高裁は、強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするにあたっては、被害者の受けた性的な被害の有無やその内容、程度にこそ目を向けるべきであって、行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は、その正当性を支える実質的な根拠を見出すことが難しいとして、Xに児童ポルノ製造罪以外に、強制わいせつ罪の成立を認めた(最大判平29.11 ・29裁判所Web。ただし、事案により性的意図を考盧すべき場合がありうることまでは否定していない)。

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大法廷H29.11.29の最高裁判所刑事判例集71巻9号467頁が、5年ぶり11回目の刑集でした

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ちゃんと数えた

1  
平成29年11月29日 平成29年11月29日 最高裁大法廷 平28(あ)1731号
事件名 事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件
文献 最高裁判所刑事判例集71巻9号467頁
曲田統・法教450号51頁
成瀬幸典・法教449号129頁
前田雅英・WLJ判例コラム122号(2017WLJCC030)
裁判所時報1688号245頁
LLI/DB 判例秘書登載
westlaw 〔判示事項〕◆強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否〔裁判要旨〕◆刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条にいう「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うための個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合はあり得るが、行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではないとされた事例
判例秘書 判示事項】 強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否
LEX/DB 被告人が、被害者が13歳未満の女子であることを知りながら、被害者に対し、被告人の陰茎を触らせ、口にくわえさせ、被害者の陰部を触るなどのわいせつな行為をしたとして起訴され、第1審判決は懲役3年6月を言い渡し、原判決は、被告人に性的意図があったと認定するには合理的な疑いが残るとした第1審判決の事実認定を是認した上で、客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ、行為者がその旨認識していれば、強制わいせつ罪が成立し、行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないとして、昭和45年判例最高裁昭和43年(あ)第95号同45年1月29日第一小法廷判決)を現時点において維持するのは相当でないとし、第1審判決を是認したため、被告人が上告した事案において、刑法176条にいう、わいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになり、そのような個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難いとし、そのような場合があるとしても、故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく、昭和45年判例の解釈は変更されるべきであるとの見解を示し、刑事訴訟法410条2項により、昭和45年判例を当裁判所の上記見解に反する限度で変更し、原判決を維持するのを相当と認め、同判例違反をいう所論は、原判決破棄の理由にならないとして、上告を棄却した事例。
2  
平成24年 7月 9日 平成24年 7月 9日 最高裁第三小法廷 平21(あ)2082号
事件名 事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
文献 最高裁判所裁判集刑事308号53頁
判例タイムズ1383号154頁
判例時報2166号140頁
LLI/DB 判例秘書登載
警察学論集66巻12号152頁
警察公論68巻8号88頁
判例時報2202号186頁
東京経済大学現代法学25号175頁
法学新報120巻5~6号303頁
法律時報85巻11号113頁
北大法学論集65巻3号682頁
刑事法ジャーナル37号101頁
日本大学法科大学院法務研究12号143頁
石井徹哉・ジュリ臨増1453号165頁(平24重判解)
渡邊卓也・法教別冊389号39頁(付録・判例セレクト2012Ⅰ)
瀧本京太朗・北大法学論集65巻3号188頁
westlaw 児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の「公然と陳列した」には当たらないとする反対意見が付された事例
判例秘書 児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の「公然と陳列した」には当たらないとする反対意見が付された事例
LEX/DB 裁判所ウェブサイト〕
    児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の「公然と陳列した」には当たらないとする反対意見が付された事例
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
    児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の「公然と陳列した」には当たらないとする反対意見が付された事例
【要旨】 〔TKC
    児童ポルノ法7条4項にいう「公然と陳列した」の解釈について、既に第三者によって公然陳列されている児童ポルノの所在場所の情報を単に情報として示すだけでは不十分であり、当該児童ポルノ自体を不特定又は多数の者が認識できるようにする行為が必要で、本件のように、被告人によって示されたURL情報を使って閲覧者が改めて画像データが掲載された第三者のウェブサイトにアクセスする作業を必要とする場合は「公然と陳列した」に該らない、従って、児童ポルノ公然陳列罪が成立するとした原判決には法令の違反があるので、原判決を破棄し、本件については幇助罪成立の余地もあるので、原審に差し戻すべきである、とする2裁判官の反対意見が示された。 
3  
平成21年10月21日 平成21年10月21日 最高裁第一小法廷 平19(あ)619号
事件名 事件名 児童福祉法違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
文献 最高裁判所刑事判例集63巻8号1070頁
裁判所時報1494号305頁
判例タイムズ1326号134頁
判例時報2082号160頁
LLI/DB 判例秘書登載
捜査研究60巻6号78頁
法曹時報64巻11号3264頁
判タ1326号134頁
三浦透・最高裁判所判例解説刑事篇(平成21年度)463頁
三浦透・ジュリ1454号81頁[最高裁時の判例
只木誠・論究ジュリ17号233頁
WestlawJapan・新判例解説811号(2009WLJCC150)

【評釈等所在情報】 〔日本評論社
 豊田兼彦・法学セミナー661号131頁
 児童淫行罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係〈最新判例演習室/刑法〉
 法律時報82巻10号129頁
 児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行させる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例〈最高裁判例紹介/刑事事件〉
 園田寿・甲南法務研究6号21頁
 児童ポルノ禁止法7条3項違反の罪と児童福祉法34条1項6号違反の罪の罪数関係について:最高裁第一小法廷平成21年10月21日決定
 菅原暁・捜査研究60巻6号78頁
 児童福祉法第34条第1項第6号違反の児童に淫行をさせる罪と,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第7条第3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例〈最新・判例解説3〉
 三浦透・法曹時報64巻11号372頁
 児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例〈最高裁判所判例解説/刑事関係22〉
 三浦透・ジュリスト1454号81頁
 児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例〈最高裁時の判例/刑事〉
 三浦透・最高裁判所判例解説刑事篇平成21年度463頁
 児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
 三浦透・ジュリスト増刊333頁
 〔最高裁時の判例7 平成21年~平成23年〕児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
 只木誠・論究ジュリスト17号233頁
 児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ法処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例〈刑事判例研究180〉 
westlaw 児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例◆被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては、児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪は、観念的競合の関係にはなく、併合罪の関係にある
判例秘書 被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては,児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪は,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にある。
LEX/DB 【判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
    児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
【要旨】 〔TKC
    罪数について、本件のように被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては、被告人の児童福祉法34条1項6号に触れる行為と児童買春禁止法7条3項に触れる行為とは、一部重なる点はあるものの、両行為が通常伴う関係にあるとはいえないことや、両行為の性質等にかんがみると、それぞれにおける行為者の動態は社会的見解上別個のものといえるから、両罪は、刑法54条1項前段の観念的競合の関係にはなく、同法45条前段の併合罪の関係にあるというべきである。
  〔最高裁判所刑事判例集〕
    被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては,児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪は,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にある。 
4  
平成21年 9月25日 平成21年 9月25日 最高裁第一小法廷 平19(あ)1706号
事件名 事件名 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反被告事件
文献 最高裁判所裁判集刑事297号291頁
LLI/DB 判例秘書登載 
westlaw ◆店舗型性風俗特殊営業の規制に係る改正規定の施行に関し、いわゆる既存業者の営んでいる営業について改正規定を適用しないことが憲法14条1項、22条1項に違反するとの主張が、原判決の結論に影響を及ぼさない違憲の主張であるとされた事例
判例秘書 店舗型性風俗特殊営業の規制に係る改正規定の施行に関し,いわゆる既存業者の営んでいる営業について改正規定を適用しないことが憲法14条1項,22条1項に違反するとの主張が,原判決の結論に影響を及ぼさない違憲の主張であるとされた事例
LEX/DB 【判示事項】 〔裁判所ウェブサイト〕
    店舗型性風俗特殊営業の規制に係る改正規定の施行に関し,いわゆる既存業者の営んでいる営業について改正規定を適用しないことが憲法14条1項,22条1項に違反するとの主張が,原判決の結論に影響を及ぼさない違憲の主張であるとされた事例 
5  
平成21年 7月 7日 平成21年 7月 7日 最高裁第二小法廷 平20(あ)1703号
事件名 事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売、わいせつ図画販売目的所持、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
文献 最高裁判所刑事判例集63巻6号507頁
裁判所時報1487号194頁
判例タイムズ1311号87頁
判例時報2062号160頁
LLI/DB 判例秘書登載
判例時報2130号165頁
法曹時報64巻7号1928頁
刑事法ジャーナル22号107頁
鹿野伸二・最高裁判所判例解説刑事篇(平成21年度)186頁
鹿野伸二・ジュリ1404号122頁[時の判例
只木誠・論究ジュリ3号225頁
WestlawJapan・新判例解説790号(2009WLJCC129)

【評釈等所在情報】 〔日本評論社
 法律時報82巻2号128頁
 (1)児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数,(2)児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体として一罪とされた事例〈最高裁判例解説/刑事事件〉
 仲道祐樹・刑事法ジャーナル22号107頁
 児童ポルノ提供罪と同提供目的所持罪の罪数関係および訴因追加手続の適法性〈刑事裁判例批評138〉
 鹿野伸二・ジュリスト1404号122頁
 (1)児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数,(2)児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体として一罪とされた事例〈時の判例
 金尚均・速報判例解説(法学セミナー増刊)7号171頁
 わいせつ物販売と同販売目的所持が包括一罪であり,同販売と児童ポルノ提供,同販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持はそれぞれ同一の行為として観念的競合の関係に立ち,全体が一罪となるとした事例
 林美月子・判例時報2130号165頁
 (1)児童ポルノを,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した場合の罪数,(2)児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体として一罪とされた事例〈判例評論635/最新判例批評4〉
 鹿野伸二・法曹時報64巻7号348頁
 (1)児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数,(2)児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体として一罪とされた事例〈最高裁判所判例解説/刑事関係9〉
 只木誠・論究ジュリスト3号225頁
 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数〈刑事判例研究151〉
 鹿野伸二・最高裁判所判例解説刑事篇平成21年度186頁
 1 児童ポルノを、不特定又は多数の者に提供するとともに、不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数 2 児童ポルノであり、かつ、刑法175条のわいせつ物である物を、不特定又は多数の者に販売して提供するとともに、不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が、全体として一罪とされた事例
 鹿野伸二・ジュリスト増刊284頁
 〔最高裁時の判例7 平成21年~平成23年〕1 児童ポルノを、不特定又は多数の者に提供するとともに、不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数 2 児童ポルノであり、かつ、刑法175条のわいせつ物である物を、不特定又は多数の者に販売して提供するとともに、不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が、全体として一罪とされた事例 
westlaw 児童ポルノを、不特定又は多数の者に提供するとともに、不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。◆児童ポルノであり、かつ、刑法175条のわいせつ物である物を、不特定又は多数の者に販売して提供するとともに、不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した場合、わいせつ物販売と児童ポルノ提供、わいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持はそれぞれ観念的競合の関係に立つから、わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるときには、全体が一罪となる。
判例秘書 1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。
 2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した場合,わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるときには,全体が一罪となる。 
LEX/DB 【判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
  1. 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数 
  2. 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体として一罪とされた事例
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
  1. 児童ポルノを、不特定又は多数の者に提供するとともに、不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数
  2. 児童ポルノであり、かつ、刑法175条のわいせつ物である物を、不特定又は多数の者に販売して提供するとともに、不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が、全体として一罪とされた事例
【要旨】 〔TKC
    児童ポルノ提供等に関する罪数について、児童ポルノを、不特定又は多数の者に提供するとともに、その目的で所持した場合には、児童の権利を擁護しようとする同法の立法趣旨に照らし、児童ポルノ提供罪と同提供目的所持罪とは併合罪の関係にあると解されるが、児童ポルノであり、かつ、刑法175条のわいせつ物である物を、不特定又は多数の者に販売して提供するとともに、不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持したという場合には、わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成するところ、その一部であるわいせつ物販売と児童ポルノ提供、同じくわいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持は、それぞれ社会的、自然的事象としては同一の行為であって観念的競合の関係に立つから、結局全体が一罪となる、と判断した。
  〔最高裁判所刑事判例集〕
  1. 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。 
  2. 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した場合,わいせつ物販売と児童ポルノ提供,わいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持はそれぞれ観念的競合の関係に立つから,わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるときには,全体が一罪となる。 
   
6  
平成20年11月 4日 平成20年11月 4日 最高裁第三小法廷 平20(あ)865号
事件名 事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
文献 判タ1285号80頁
松田俊哉・最高裁判所判例解説刑事篇(平成20年度)679頁
松田俊哉・ジュリ1378号173頁[時の判例
WestlawJapan・新判例解説758号(2008WLJCC147)
玄守道・龍谷法学45巻1号243頁
最高裁判所刑事判例集62巻10号2811頁
裁判所時報1471号371頁
判例時報2025号158頁
LLI/DB 判例秘書登載
警察公論64巻3号122頁
捜査研究58巻6号11頁
法曹時報62巻10号2836頁
法律時報82巻1号114頁
刑事法ジャーナル19号111頁

評釈等所在情報】 〔日本評論社
 法律時報81巻3号130頁
 (1)犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否,(2)組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例,(3)注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
 松田俊哉・ジュリスト1378号173頁
 (1)犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否,(2)組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例,(3)注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
 白井美果・捜査研究58巻6号11頁
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項にいう「犯罪行為により得た財産」は,当該犯罪行為により取得した財産であればよく,その実行に着手する前に取得した前払い代金等であっても後に当該犯罪が成立する限り「犯罪収益」に該当する等とした事例
 岡上雅美・刑事法ジャーナル19号111頁
 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金が,いわゆる組織的犯罪処罰法10条1項前段にいう「犯罪収益」にあたる等とされた事例
 三上正隆・法律時報82巻1号114頁
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号にいう「犯罪行為により得た財産」の範囲〈特別刑法判例研究〉
 松田俊哉・法曹時報62巻10号244頁
 (1)犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否,(2)組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例,(3)注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法〈最高裁判所判例解説/刑事関係23〉
 松田俊哉・ジュリスト増刊〔最高裁時の判例6平成18~20年〕336頁
 (1)犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否,(2)組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例,(3)注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
 松田俊哉・最高裁判所判例解説刑事篇平成20年度679頁
 1 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否 2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例 3 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し、提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
 玄守道・龍谷法学45巻1号243頁
 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金がいわゆる組織的犯罪処罰法10条1項前段にいう「犯罪収益」に当る等とされた事例〈判例研究〉 
westlaw 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号にいう「犯罪行為により得た財産」とは、当該犯罪行為によって取得した財産であればよく、その実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産であっても後に当該犯罪が成立する限り犯罪収益に該当し、その取得につき事実を仮装すれば、同法10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」が成立する。◆組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示に当たっては、犯罪行為によって得た財産が同法所定の犯罪収益であることを示せば足り、第1審判決(判文参照)は、同罪の罪となるべき事実の摘示において欠けるところはない。◆注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供する場合、当該提供行為によって提供者が注文者から取得したと認められる金員の全額が「犯罪行為により得た財産」として組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律所定の犯罪収益に該当し、提供者が児童ポルノを提供するに際して同金員の一部を送料として支出したとしても、同法による追徴に当たり、その分を控除して追徴金額を算定すべきではない。
判例秘書 1 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号にいう「犯罪行為により得た財産」とは,当該犯罪行為によって取得した財産であればよく,その実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産であっても後に当該犯罪が成立する限り犯罪収益に該当し,その取得につき事実を仮装すれば,同法10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」が成立する。

2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示に当たっては,犯罪行為によって得た財産が同法所定の犯罪収益であることを示せば足り,第1審判決(判文参照)は,同罪の罪となるべき事実の摘示において欠けるところはない。

3 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供する場合,当該提供行為によって提供者が注文者から取得したと認められる金員の全額が「犯罪行為により得た財産」として組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律所定の犯罪収益に該当し,提供者が児童ポルノを提供するに際して同金員の一部を送料として支出したとしても,同法による追徴に当たり,その分を控除して追徴金額を算定すべきではない。 
LEX/DB 【判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
  1. 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否
  2. 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例
  3. 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
  1. 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否
  2. 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例
  3. 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し、提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
【要旨】 〔最高裁判所刑事判例集〕
  1. 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号にいう「犯罪行為により得た財産」とは,当該犯罪行為によって取得した財産であればよく,その実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産であっても後に当該犯罪が成立する限り犯罪収益に該当し,その取得につき事実を仮装すれば,同法10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」が成立する。
  2. 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示に当たっては,犯罪行為によって得た財産が同法所定の犯罪収益であることを示せば足り,第1審判決(判文参照)は,同罪の罪となるべき事実の摘示において欠けるところはない。
  3. 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供する場合,当該提供行為によって提供者が注文者から取得したと認められる金員の全額が「犯罪行為により得た財産」として組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律所定の犯罪収益に該当し,提供者が児童ポルノを提供するに際して同金員の一部を送料として支出したとしても,同法による追徴に当たり,その分を控除して追徴金額を算定すべきではない。 
7  
平成20年 3月 4日 平成20年 3月 4日 最高裁第二小法廷 平18(あ)1249号
事件名 事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、関税法違反被告事件
文献 高裁判所刑事判例集62巻3号85頁
裁判所時報1455号85頁
判例タイムズ1289号96頁
判例時報2032号160頁
LLI/DB 判例秘書登載
岡山大学法学会雑誌60巻1号167頁
警察公論63巻9号90頁
判例時報2072号206頁
法曹時報63巻4号979頁
刑事法ジャーナル19号105頁
修ロージャーナル5号261頁
山口裕之・最高裁判所判例解説刑事篇(平成20年度)92頁
山口裕之・ジュリ1430号73頁[時の判例
WestlawJapan・新判例解説724号(2008WLJCC113)
岡田好史・専修ロージャーナル5号261頁

【評釈等所在情報】 〔日本評論社
 法律時報81巻6号150頁
 児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が,「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出した者といえるとされた事例
 渡邊卓也・刑事法ジャーナル19号105頁
 児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が「不特定」の者に提供する目的で外国から「輸出」したものといえるとされた事例
 岡田好史・専修大学法科大学院/専修ロージャーナル5号261頁
 外国から児童ポルノを航空便で発送する行為と外国からの児童ポルノ輸出罪〈判例研究〉
 嘉門優・速報判例解説(法学セミナー増刊)4号137頁
 インターネット上のオークションにおける落札者に対し、児童ポルノDVDをタイから航空便で発送し、日本に向かう航空機に搭載させた時点で、児童ポルノ処罰法上の、不特定の者に提供する目的による児童ポルノ輸出既遂罪の成立を認めた事例
 渡邊卓也・判例時報2072号206頁
 児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が不特定の者に提供する目的で外国から輸出したものといえるとされた事例〈判例評論616/最新判例批評39〉
 荻原滋・岡山大学法学会雑誌60巻1号167頁
 児童ポルノ処罰法7条6項にいう「不特定の者に提供する目的」の意義
 山口裕之・法曹時報63巻4号197頁
 児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が,「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出したものといえるとされた事例〈最高裁判所判例解説/刑事関係4〉
 山口裕之・ジュリスト1430号73頁
 児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が,「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出したものといえるとされた事例〈時の判例
 山口裕之・最高裁判所判例解説刑事篇平成20年度92頁
 児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が、「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出したものといえるとされた事例 
westlaw 児童ポルノを日本国内で運営されているインターネット・オークションに出品して不特定の者から入札を募り,外国から日本に居る落札者にあてて児童ポルノを郵便に付して送付した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条6項,4項所定の児童ポルノを不特定の者に提供する目的で外国から輸出したものといえる。
判例秘書 児童ポルノを日本国内で運営されているインターネット・オークションに出品して不特定の者から入札を募り,外国から日本に居る落札者にあてて児童ポルノを郵便に付して送付した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条6項,4項所定の児童ポルノを不特定の者に提供する目的で外国から輸出したものといえる。
LEX/DB 【判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が、「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出したものといえるとされた事例
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
    児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が、「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出したものといえるとされた事例
【要旨】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    児童ポルノを日本国内で運営されているインターネット・オークションに出品して不特定の者から入札を募り、外国から日本に居る落札者にあてて児童ポルノを郵便に付して送付した場合、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条6項、4項所定の児童ポルノを不特定の者に提供する目的で外国から輸出したものといえる 
8  
平成18年 5月16日 平成18年 5月16日 最高裁第三小法廷 平15(あ)1348号
事件名 事件名 わいせつ図画頒布、わいせつ図画販売、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売目的所持被告事件
文献 判タ1227号187頁
山口裕之・最高裁判所判例解説刑事篇(平成18年度)257頁
穴沢大輔・ジュリ1365号142頁
山口裕之・ジュリ1336号113頁[時の判例
深町普也・ジュリ臨増1332号174頁(平18重判解)
荒川雅行・ジュリ別冊221号206頁(刑法判例百選Ⅱ第7版)
生田勝義・ジュリ別冊190号216頁(刑法判例百選Ⅱ第6版)
園田寿・法教別冊318号38頁(付録・判例セレクト2006)
WestlawJapan・新判例解説624号(2006WLJCC143)
 最高裁判所刑事判例集60巻5号413頁
裁判所時報1412号267頁
判例時報1953号175頁
警察学論集59巻10号199頁
警察公論62巻11号123頁
研修700号97頁
日本法学74巻4号1615頁
法曹時報61巻9号2980頁
法律時報79巻8号168頁
刑事法ジャーナル8号133頁
評釈等所在情報】 〔日本評論社
 島根悟・警察学論集59巻10号199頁
 児童ポルノ及びわいせつ物に該当する画像データを販売用コンパクトディスク作成に備えて保存しておくバックアップのための光磁気ディスクの製造,所持した行為について,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び保護に関する法律7条2項の販売の目的及び刑法175条後段の販売の目的を認めた事例
 瀬戸毅・研修700号97頁
 わいせつ物に該当する児童ポルノ画像を保存する光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第7条第2項(平成16年改正前のもの)及び刑法第175条の「販売の目的」があるとされた事例
 園田寿法学教室318号別冊附録(判例セレクト2006)38頁
 児童ポルノ禁止法7条2項及び刑法175条後段における販売目的の意義
 内山良雄・法律時報79巻8号168頁
 児童ポルノ,わいせつ物であるMOを販売用CD-R作成に備えたバック・アップ用に製造所持した行為と児童ポルノ禁止法7条2項,刑法175条の販売目的
 山口裕之・ジュリスト1336号113頁
 児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
 永井善之・刑事法ジャーナル8号133頁
 児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
 法律時報79巻10号107頁
 児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
 森尾亮・法学セミナー増刊(速報判例解説Vol.1)197頁
 児童ポルノに該当するわいせつ画像データの販売に備えて光磁気ディスクに保存・所持した行為について,児童ポルノに係る行為等の処罰及び保護に関する法律7条2項(平成16年改正前のもの)及び刑法175条の「販売の目的」を認めた事例
 深町晋也・ジュリスト臨時増刊1332号174頁
 〔平成18年度重要判例解説〕わいせつ物販売目的所持罪の成否
 穴沢大輔・ジュリスト1365号142頁
 旧児童ポルノ等処罰法7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段の販売目的が肯定された事例
 生田勝義・別冊ジュリスト190号216頁
 〔刑法判例百選2 第6版〕販売の目的の意義
 谷直之・受験新報675号20頁
 間接販売目的でのわいせつ画像を保存したMOの所持に,わいせつ図画販売目的所持罪の販売目的が認められた事例
 南部篤・日本法学74巻4号131頁
 刑法175条後段の罪における「販売の目的」の意義
 山口裕之・法曹時報61巻9号224頁
 児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
 山口裕之・ジュリスト増刊〔最高裁時の判例6平成18~20年〕342頁
 児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
 山口裕之・最高裁判所判例解説刑事篇平成18年度257頁
 児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
 荒川雅行・別冊ジュリスト221号206頁
 〔刑法判例百選2各論 第7版〕販売の目的の意義 
westlaw ◆販売用のコンパクトディスクを作成するためパーソナルコンピュータ上のハードディスクに保存される画像データのバックアップのため、児童ポルノであり、かつ、わいせつ物である光磁気ディスクを製造、所持した行為について、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成一六年法律第一〇六号による改正前のもの)七条二項の児童ポルノを販売する目的及び刑法一七五条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例◆児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成一六年法律第一〇六号による改正前のもの)七条二項の児童ポルノを販売する目的及び刑法一七五条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例◆児童の姿態に係る画像データを記憶、蔵置させて児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを製造し、これを所持する行為は、販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのためのものである場合には、コンパクトディスク作成の際に児童の目の部分にぼかしを入れるなどの加工を施す意思であっても、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成一六年法律第一〇六号による改正前のもの)七条二項にいう「前項に掲げる行為の目的」のうちの児童ポルノを販売する目的及び刑法一七五条後段にいう「販売の目的」で行われたものということができる。
判例秘書 児童の姿態に係る画像データを記憶,蔵置させて児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを製造し,これを所持する行為は,販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのためのものである場合には,コンパクトディスク作成の際に児童の目の部分にぼかしを入れるなどの加工を施す意思であっても,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項にいう「前項に掲げる行為の目的」のうちの児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」で行われたものということができる。
LEX/DB 【判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
    児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
【要旨】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    児童の姿態に係る画像データを記憶、蔵置させて児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを製造し、これを所持する行為は、販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのためのものである場合には、コンパクトディスク作成の際に児童の目の部分にぼかしを入れるなどの加工を施す意思であっても、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項にいう「前項に掲げる行為の目的」のうちの児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」で行われたものということができる。 
9  
平成18年 2月20日 平成18年 2月20日 最高裁第三小法廷 平17(あ)1342号
事件名 事件名 わいせつ図画販売、同販売目的所持、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
文献 最高裁判所刑事判例集60巻2号216頁
裁判所時報1406号133頁
判例タイムズ1206号93頁
判例時報1923号157頁
LLI/DB 判例秘書登載
 警察公論61巻12号90頁
法学新報117巻1~2号177頁
法曹時報61巻8号2642頁
刑事法ジャーナル13号109頁
上田哲・最高裁判所判例解説刑事篇(平成18年度)102頁
WestlawJapan・新判例解説599号(2006WLJCC118)

【評釈等所在情報】 〔日本評論社
 法律時報79巻9号103頁
 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為と同法7条3項の児童ポルノ製造罪の成否
 上野芳久・刑事法ジャーナル13号109頁
 デジタルカメラ児童ポルノを製造した者がその画像データをハードディスクにコピーする行為と児童ポルノ等処罰法7条3項の製造罪の成否
 上田哲・法曹時報61巻8号146頁
 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為と同法7条3項の児童ポルノ製造罪の成否
 森尾亮・速報判例解説(法学セミナー増刊)2号179頁
 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録させた者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為が,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たるとした事例
 島田美小妃・中央大学/法学新報117巻1=2号177頁
 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たるとされた事例〈刑事判例研究2〉
 上田哲・最高裁判所判例解説刑事篇平成18年度102頁
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為と同法7条3項の児童ポルノ製造罪の成否 
westlaw ◆児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律二条三項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ、これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は、同法七条三項の児童ポルノ製造罪に当たるとされた事例◆児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律二条三項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為と同法七条三項の児童ポルノ製造罪の成否
判例秘書 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる。
LEX/DB 判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為と同法7条3項の児童ポルノ製造罪の成否
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
    児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為と同法7条3項の児童ポルノ製造罪の成否
【要旨】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ、これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は、同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる。 
10  
平成15年 3月11日 平成15年 3月11日 最高裁第三小法廷 平14(あ)1198号
事件名 事件名 信用毀損、業務妨害、窃盗被告事件
文献 判タ1119号116頁
山口雅髙・最高裁判所判例解説刑事篇(平成15年度)93頁
松澤伸・ジュリ1286号128頁
大山徹・法教別冊282号31頁(付録・判例セレクト2003)
WestlawJapan・新判例解説309号(2003WLJCC109)
最高裁判所刑事判例集57巻3号293頁
裁判所時報1336号79頁
判例時報1818号174頁
研修660号13頁
現代刑事法6巻5号76頁
ジュリスト1251号175頁
判例評論546号42頁
法学セミナー48巻10号109頁
法曹時報58巻2号736頁
法律のひろば56巻12号58頁

【評釈等所在情報】 〔日本評論社
 大山徹・法学教室282号別冊附録(判例セレクト2003)31頁
 販売される商品の品質に対する社会的信頼と刑法233条にいう「信用」
 内海朋子・現代刑事法6巻5号76頁
 販売される商品の品質に対する社会的な信頼は、刑法234条にいう「信用」に含まれるとされた事例
 山本光英・判例時報1818号174頁
 販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」
 松沢伸・ジュリスト1286号128頁
 販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」
 山口雅高・法曹時報58巻2号356頁
 販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」
 浅井弘章・銀行法務21増刊630号114頁
 〔ダイジェスト金融商事重要判例 平成15年版〕販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条の「信用」
 法律時報75巻10号115頁
 販売される商品の品質に対する社会的な信用と刑法二三三条にいう「信用」(最高裁判例紹介 刑事事件)
 山口雅高・最高裁判所判例解説刑事篇平成15年度93頁
 販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」
westlaw ◆販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法二三三条にいう「信用」◆販売される商品の品質に対する社会的な信頼は、刑法二三三条にいう「信用」に含まれる。
判例秘書 販売される商品の品質に対する社会的な信頼は、刑法二三三条にいう「信用」に含まれる。
LEX/DB 事案の概要】 被告人が、コンビニエンスストアで買ったオレンジジュースに家庭用洗剤を注入した上、警察官に対して、異物が混入していた旨虚偽の申告をし、報道機関をして、上記コンビニエンスストアで異物の混入されたオレンジジュースが陳列、販売されていたことを報道させたところ、信用毀損罪の成立が認められたため、上告した事案で、刑法233条にいう「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含むと解するのが相当であるとし、上告を棄却した事例。
【判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」
  〔判例タイムズ判例タイムズ社)〕
    販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」
【要旨】 〔最高裁判所刑事判例集〕
    販売される商品の品質に対する社会的な信頼は、刑法233条にいう「信用」に含まれる。
【裁判結果】 棄却 
11  
平成14年 6月17日 平成14年 6月17日 最高裁第二小法廷 平12(あ)1769号
事件名 事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売目的所持被告事件
文献 最高裁判所裁判集刑事281号577頁
westlaw 〔判示事項〕◆児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条2項,2条3項2号,3号と憲法13条,21条,31条
判例秘書 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条2項,2条3項2号,3号と憲法13条,21条,31条
LEX/DB 事案の概要】 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反等の罪に問われた被告人が、本件ビデオテープに同法7条2項を適用することは憲法21条、13条に違反すると主張して上告した事案において、児童ポルノである本件ビデオテープに児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条2項を適用することが憲法に反しないことは裁判所大法廷の判例の趣旨に徴して明らかであるとして、被告人の上告を棄却した事例。
【判示事項】 〔裁判所ウェブサイト〕
    児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条2項,2条3項2号,3号と憲法13条,21条,31条
【要旨】 〔TKC
    「性欲を興奮させ又は刺激するもの」との文言は、一般の通常人が具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかを判断することが可能な基準を示しているということができ、不明確であるとはいえないから、憲法31条に違反しない 

「利用者が自由に動画などの売買ができる仕組み。会員登録をして、自作した動画や画像に希望の値段をつけて出品(投稿)すれば、会員同士で売買することができる。」というサイトの管理者逮捕

 販売委託側は、提供目的製造とか児童買春罪とかで検挙される。
 管理者の責任は、共同正犯とか幇助とか
 こういうのもお金の流れを辿ると購入者リストが出るから、単純所持の捜索につながるよね。

名古屋市職員の男を逮捕、児童ポルノ保管容疑 愛知県警
2018年4月3日14時38分
写真・図版
動画販売サイトでのデータと金の流れ

 インターネット上で販売する目的で児童ポルノを保管したとして、愛知県警は3日、同県東郷町に住む名古屋市交通局職員の男(39)を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的保管)などの疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。男は動画や画像を売買できるサイトを通じて複数の児童ポルノを販売して収益をあげていたとみられ、県警で裏付けを進める。

 捜査関係者によると、男は2月、自宅で動画販売サイトで販売する目的で、児童ポルノの画像データを保管した疑いがある。

 このサイトは、利用者が自由に動画などの売買ができる仕組み。会員登録をして、自作した動画や画像に希望の値段をつけて出品(投稿)すれば、会員同士で売買することができる。

 朝日新聞記者が確認したところ、サイト上では「潜入ドキュメンタリー」「JK盗撮」などのタイトルで、無数のわいせつ動画が出品されていた。個人で撮影したと思われる動画が大半で、それぞれ日本円で数百円程度の値段が付けられていた。サイト側の説明によると、会員が出品した動画などが売れると、サイト側が運営費などを差し引いたうえで、出品者の銀行口座に代金を振り込む仕組みという。

 今回、利用されたサイトは、動画や画像の多くに「今回はモデルを使ったイメージ動画」「18歳以上を確認した」などの注釈がついていた。しかし、県警が男の出品したものを調べたところ、児童ポルノであることが特定できたという。捜査関係者は「こうしたサイトが盗撮や児童ポルノの製造を助長している可能性がある」と指摘している。

フリーおっぱい 女子高生事件移送

 公然陳列目的製造罪がファーストチョイスだと思います。

フリーおっぱい 女子高生事件移送
2018.03.31 日刊スポーツ  東京地検は30日、東京・渋谷で「フリーおっぱい」と書かれたスケッチブックを掲げて通行人に胸を触らせたとして、
 東京都迷惑防止条例違反(卑わいな言動)容疑で書類送検された千葉県船橋市の私立高1年の女子生徒(16)と、様子を撮影していた相模原市の高3の男子生徒(18)について、事件を千葉地検横浜地検にそれぞれ移送した。ほう助した疑いで書類送検された東京都三鷹市の20代の男性会社員は関与が従属的だったとして、19日付で起訴猶予処分とした。
・・・
「フリーおっぱい」事件移送
2018.03.31 宮崎日日新聞朝刊 
 東京地検は30日、東京・渋谷で「フリーおっぱい」と書かれたスケッチブックを掲げて通行人に胸を触らせたとして、東京都迷惑防止条例違反(卑わいな言動)容疑で書類送検された千葉県船橋市の私立高1年の女子生徒(16)と、様子を撮影していた相模原市の高3の男子生徒(18)について、事件を千葉地検横浜地検にそれぞれ移送した。
 ほう助した疑いで書類送検された東京都三鷹市の20代の男性会社員は関与が従属的だったとして、19日付で起訴猶予処分としている。

 3人は1月28日、ハチ公前広場で不特定多数に「おっぱい触りたい放題」などと呼び掛け、胸を触らせたとして、今月12日に書類送検された。3人は動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿する「ユーチューバー」仲間だった。

 相談者が匿名でSNSにアップしていた自身の「わいせつな写真」も見つけてきて、どんどん晒している場合とリベンジポルノ性(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)

 匿名とはいえ、自分で撮影して公開していた裸の写真は、私事性に欠ける(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。)から、リベンジポルノには該当しないと説明されています。
 名誉毀損罪については、罵詈雑言を書き加えたりするので、可能性はあるでしょう。

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
第二条(定義)
 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
2この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。

よくわかるリベンジポルノ防止法 立花書房
Q10「私事性的画像記録」にいう私事性の要件とは具体的に
はどのようなものをいうのですか。
1 リベンジポルノ防止法では、単なる性的画像記録では足りず、
「私事」性的画像記録を規制の対象としています。すなわち、性
的画像記録のうち、撮影対象者において、第三者が閲覧すること
を認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものは、本
法の規制対象となる私事性的画像記録から除外しており、いわば
「私事性」のある性的画像のみを規制の対象としています。
これは、本法の保護法益が、個人の性的プライバシーと性的名
誉であることに鑑み、私的に撮影された性的画像に限定する趣旨
です。
2 したがって、いわゆるアダルトビデオやグラビア写真のよう
に、公開されることを前提として画像が撮影された場合や、撮影
対象者において、撮影をした者が友人などの第三者に画像を見せ
ることを認識しつつ、任意に撮影を承諾した場合などは、私事性
が否定され、私事性的画像記録に該当しません。
3他方、撮影対象者が撮影されること自体を承諾していたとして
も、例えば他人に見せない約束で撮影した性的画像など、撮影し
た性的画像記録を第三者が閲覧することを前提とせずに撮影を承
諾し、あるいは、自画撮りしたものであれば、私事性的画像記録
に該当します。
また、そもそも撮影対象者の承諾がないまま交際相手に隠し撮
りされた性的画像や第三者が盗撮した性的画像など、撮影対象者
において撮影されていること自体を認識しないまま撮影されたも
のも、私事性的画像記録に該当します。
4 さらに、撮影対象者が、第三者が閲覧することを認識した上で
撮影を承諾したとしても、撮影の際に脅迫を受けるなどしてやむ
を得ず承諾したような場合などは、「任意に撮影を承諾し」たと
はいえないことから、私事性はなお否定されません。したがって、
私事性的画像記録に該当し得ることになります。

Q11私事性の要件はどのように認定するのですか。
1 リベンジポルノ防止法の保護対象である私事性的画像記録等に
該当するためには、撮影対象者において、第三者が閲覧すること
を認識した上で任意に撮影を承諾し又は撮影したものでないこ
と、すなわち私事性が認められなければなりません。
2 この私事性の判断においては、撮影対象者の認識や承諾の有無
及び任意性といった主観的要素が問題となりますが、その認定に
あたっては、撮影対象者や撮影者の供述のほか、撮影された性的
画像の内容、撮影場所や撮影時間などの客観的な撮影状況、撮影
に至る経緯などの客観的事情等を総合的に考盧して判断されるこ
ととなります。
撮影に関する承諾書、契約書等の有無やその内容、撮影画像に
含まれる音声情報なども、承諾の有無を判断するための有力な手
掛かりになるでしょう。
S なお、私事性の要件である撮影対象者の認識又は承諾の不存在
は、撮影時点において判断されるものです。したがって、撮影対
象者が撮影時点において画像の公表について承諾していた場合に
は、当該性的画像の私事性が否定されますので、一旦した承諾を
撮影後に撤回したとしても、本法の対象である「私事性的画像記
録」等には該当しないこととなります。

・・・・
水越検事「私事性的画像記録の提供等による被害の防止について 月刊警察2016年04月
第2条第1項の「撮影対象者において,第三者が閲覧することを認識した上で,任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く」旨の括弧書きの趣旨は何ですか。
A 第2条第1項の最初の括弧書きで,撮影対象者において,第三者が閲覧
することを認識した上で,任意に撮影を承諾し又は撮影をした画像に係るものは,私事性的画像記録から除外されています(私事性の要件)。これは,本法が,個人のプライバシーの保護を目的の一つとすることに鑑み, プライベートで撮影された画像に対象を限定する趣旨です。
私事性が認められる例としては,誰にも見せない約束で恋人に対して撮影を許可した画像,恋人だけに見せるつもりでいわゆる自画撮りをした画像,恋人に隠し撮りされた画像,第三者による盗撮画像等が考えられます。
他方, いわゆるアダルトビデオやグラビア写真のように,広く公開されることを前提として画像が撮影された場合や,撮影対象者において,撮影をした者がその友人等の第三者に画像を見せることを認識しながら,任意に撮影を承諾した場合等は,私事性が否定されます。ただし,撮影対象者が,脅迫を受けるなどしてやむを得ず撮影を承諾したような場合は,「任意に」撮影を承諾したとはいえないことから,私事性は否定されません。
なお,私事性の要件は,撮影対象者の撮影時点における認識承諾によって判断されるものです。したがって,撮影対象者が撮影時点において画像の公表について承諾していた場合には私事性が否定され,その後,その承諾を撤回したとしても,当該画像に私事性が認められることはありません。
・・・・・・・・・・・
警察庁生活安全局長・刑事局長
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の施行について(通達)
「撮影対象者において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し、又は撮影したものを除く。」とされたのは、第三者に公開することを前提として、撮影に応じたものや自ら撮影したものについては、これが第三者に提供等されたとしても、性的名誉及び性的プライバシーの侵害があったとは評価できなことから、こうしたものを除く趣旨である。これにより、例えば、誰にも見せない約束で撮影を許可した画像、交際相手だけに見せるつもりで自ら撮影した画像、交際相手に隠し撮りされた画像、第三者による盗撮画像等であって①から③のいずれかの姿態が撮影されたものは、私事性的画像記録に該当し、法の保護対象となり得るが、アダルトビデオ、グラビア写真等、商業目的で作成された画像や第三者に見られることを認識して撮影を許可した画像、自ら撮影した画像等は、保護対象とはならないと考えられる。

正体は不倫相手の妻? なりすましアカウントが、私の「わいせつ写真」を続々公開
https://www.bengo4.com/internet/n_7580/
相談者によれば、そのなりすましアカウントがアップしているものは、普段の相談者の写真に加えて、かつて相談者が匿名でSNSにアップしていた自身の「わいせつな写真」も見つけてきて、どんどん晒しているという。

さらに、このなりすましアカウントにはフォロワーが増えており「周りの全員に知られるのも時間の問題」だと危機感を抱いている。
・・・

リベンジポルノ防止法の「公表罪」に該当する可能性
なお今回は、アップされた写真には「わいせつ」な写真も含まれている。「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(いわゆるリベンジポルノ防止法)に違反することにならないか。

「アップされた写真が裸などであれば、リベンジポルノ防止法の『公表罪』にあたります。第三者が被写体を特定できる方法でプライベートとして撮影された性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した場合は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科すという内容です。

また、どこまで写っているかにもよりますが、刑法上の『わいせつ物等公然陳列罪(刑法175条1項)』で、刑事処罰(2年以下の懲役または250万円以下の罰金・科料)を受ける可能性もあるでしょう」

「下着の形状をしたがん具類」とは「下着としての機能よりも性的感情を刺激することを主目的としているものを規制するものである。例えば、穴あきパンティと称して販売されているものがこれに当たる。)北海道青少年健全育成条例

 穴が空いていると下着じゃなくなるのか

北海道青少年健全育成条例の解説h26
(有害がん具類の指定及び販売等の禁止)
第19条
次の各号のいずれかに該当するものは、有害がん具類とする。
(1)専ら性交又はこれに類する性行為の用に供するがん具類であって、規則で定める形状、構造又は機能を有するもの
(2)下着の形状をしたがん具類
(3)着用済みの下着であるとして、又はこれと誤認される表現若しくは形態を用いて、包装箱その他の物に収納されているがん具類
(4)前3号に掲げるもののほか、知事が、がん具類の形状、構造又は機能が青少年の健全な育成を害するおそれがあると認め指定したもの
2がん具類の取扱いを業とする者は、有害がん具類を青少年に販売し、頒布し、贈与し、貸し付け、若しくは閲覧させ、又は青少年と交換してはならない
解説
2同項第1号の「専ら性交又はこれに類する性行為の用に供するがん具類」とは、物品の形状、構造又は機能から見て、その物品が性的な目的で使用されることを本来の用途としているものをいう。
(1)本号は、いわゆる「大人のおもちや」といわれる性的がん具類を規制するものであり、これらの商品は、その形状、構造、機能が多種多様であり、類型化することが困難なため、規制の対象物を規則で定めている。
(2)本号を受けて、規則第1条第3項で有害がん具類とするものを次のとおり定めている。
ア性器の形状をなし、又はこれに著しく類似するがん具類
イ性器を包み込み、又は性器に挿入する構造をなし、かつ、電動式振動機を内臓し、又は装着可能な構造を有するがん具類
ウ全裸又は半裸の人形(気体又は液体で膨張させ人形となるものを含む。)
(3)アは、外形的に見て性器に酷似するものであるが、一般的には、こけし等と称して販売されている模造性器をいう。
(4)イは、いわゆるバイブレーターを規制するものであるが、健康器具として肩や腰のマッサージに用いられるバイブレーターは、專ら性行為の用に供するものではないので、本条例の対象にはならない。
(5)ウは、ダッチワイフや自慰用の人形を規制するものであるが、幼児の遊具として用いられる人形やホルダーの飾りとしてついている人形等は、専ら性行為の用に供するものではないので、本条例の対象にはならない。
3同項第2号の「下着の形状をしたがん具類」とは、一般の下着類が衛生、保温、体型の保持を目的としているのに対し、専ら性的な目的のために使用される下着は、形状、構造、機能面から見ても一般の下着類とは明らかに異なっていることから、下着としての機能よりも性的感情を刺激することを主目的としているものを規制するものである。例えば、穴あきパンティと称して販売されているものがこれに当たる。
4同項第3号は、いわゆるブルセラ商品といわれるものを規制するものである。使用済み下着といわれる商品は、使用済みという付加価値をつけるため使用済みを仮装している場合も多く、また、事実上も使用済みか否かの認定や立証が困難であるため、販売方法の面からこれを規制するものである。
(l)「着用済み下着であるとして」とは、明確に「着用済み」と表示することはもちろん、「愛用」、「身に付けていた」、「はいていた」等の表現もこれに当たる。なお、販売している商品が実際に使用済みであるかどうかは問わない。
(2)「これと誤認される表現」とは、使用済みの下着であることを想像させる文言や表現を用いることをいい、例えば「女子高生のパンティ」、「お嬢様の下着」等のほか、商品名の補助的な表現として、「ビショビショ」、「ムレムレ」等と記載しているものも、総合的に見ると使用済みであることを想像させるので、これらの表現も誤認される表現に当たる。
(3)「形態を用いて」とは、外観上使用済み下着であるようなことを想像させ、又は誤解させるような方法をいい、例えば、下着を着用している女性の写真や絵などを添付したり、あたかも使用済みであるかのように見せるため、汚れている状態を確認できるような方法で販売するなどの形態がこれに当たる。
なお、本号の表現や形態は、商品の包装箱等に表示してある場合はもちろん、個々の商品に表示していなくても自動販売機の商品棚や展示してある見本に表示してあれば、個々の商品に表示してあるのと同様である。

AV強要「児童に対し,性交等をしたり,児童ポルノを製造したりしたとして,懲役3年,5年間執行猶予の有罪判決の宣告を受け」執行猶予中に行ったわいせつ電磁的記録記録媒体頒布,職業安定法違反,強要,わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持被告事件で保護観察付き執行猶予とした事例(大阪地裁h29.10.20)

 検察官控訴実刑になったようです(大阪高裁H30.3.28)

職業安定法
第六三条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

大阪地方裁判所
平成29年10月20日第6刑事部判決
       判   決
 上記の者に対するわいせつ電磁的記録記録媒体頒布,職業安定法違反,強要,わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持被告事件について,当裁判所は,検察官鈴木美香及び同藤原真心並びに私選弁護人谷岡俊英(主任)及び同菅谷幸彦各出席の上審理し,次のとおり判決する。


       主   文

被告人を懲役3年及び罰金30万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から5年間その懲役刑の全部の執行を猶予する。
被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。


       理   由

[罪となるべき事実]
 被告人は,インターネット通信販売サイト「△△△△△△」を運営して成人男性向けDVDを制作・販売し,同サイトで販売するための性交場面等を含むDVDにモデルとして出演させる女性を,コスプレモデル募集サイトを利用して募集し,対価を支払って自ら制作・販売する成人男性向けDVDに出演させていたものであるが,
第1
1【平成29年5月26日付け起訴状記載の公訴事実】
 平成28年10月29日午前0時32分頃,「△△△△△△」を介して購入を申し込んだ不特定の者であるbに対し,同月31日,女性器を撮影記録したわいせつな電磁的記録に係る記録媒体である「◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇」と題するDVD1枚を東京都渋谷区α□丁目□□番□号cビル□◆にある「△△△△△△」事務所兼撮影スタジオ(以下「東京撮影スタジオ」という。)から宅配便で発送し,同年11月1日,兵庫県伊丹市β□丁目□□番地d□□□号室にあるb方に到着させ,その頃,同所において,これをbに受領させて,代金合計20万7750円(ただし,前記DVD1枚及びこれと同時に販売されたDVD20枚並びに送料750円の合計額)で販売して頒布した。
2【平成29年7月12日付け起訴状記載の公訴事実第3】
 「△△△△△△」で有償頒布する目的で,平成29年5月15日,別紙1の一覧表記載のとおり,大阪市γ区δ□番□□号e□□□□号室ほか4か所において,女性器を撮影記録したわいせつな電磁的記録に係る記録媒体である「◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇」と題するDVD合計698枚を所持した。
第2【平成29年7月12日付け起訴状記載の公訴事実第1】
 平成26年7月19日午前8時18分頃,東京撮影スタジオにおいて,成人男性向けDVDの出演者として性交等をさせる目的で,コスプレモデル募集サイトを介して応募してきた別紙2記載のC(当時18歳)と面接し,撮影承諾の確認書に氏名,生年月日等を書かせるなどして成人男性向けDVDのモデルとして出演するよう勧誘し,もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行った。
第3【平成29年7月12日付け起訴状記載の公訴事実第2】
 平成26年7月19日午後7時23分頃,東京撮影スタジオにおいて,Cに対し,前記第2記載の確認書に「実技エッチも私の意志でしました。」との文言を書き入れさせようとして,顔を近づけてCに対し,「書かないと帰せないよ。」などと強い口調で言って脅迫し,これに応じなければCの自由に害を加える旨告知してCを畏怖させ,よって,その頃,同所において,Cに,前記確認書に前記文言を書き入れさせ,もって人に義務のないことを行わせた。
第4【平成29年6月19日付け起訴状記載の公訴事実第1】
 平成26年11月2日,大阪市γ区δ□番□□号e□□□□号室にある被告人の撮影スタジオ(以下「大阪撮影スタジオ」という。)において,前記第2記載の目的で,コスプレモデル募集サイトを介して応募してきた別紙2記載のA(当時18歳)と面接し,Aを説得して撮影承諾の確認書に「実技エッチもあることを確認しました。」と書かせるなどして成人男性向けDVDのモデルとして出演するよう勧誘し,もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行った。
第5【平成29年6月19日付け起訴状記載の公訴事実第2】
 平成28年1月9日,大阪撮影スタジオにおいて,前記第2記載の目的で,コスプレモデル募集サイトを介して応募してきた別紙2記載のB(当時18歳)と面接し,Bに対し,「ほんの少しだけ露出はあるよ。特定の人にしか見られることはないから大丈夫だよ。」などと言って成人男性向けDVDのモデルとして出演するよう勧誘し,もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行った。
[証拠の標目]《略》
[法令の適用]
罰条
判示第1の1,2の各所為
包括して刑法175条1項前段,2項
判示第2,第4,第5の各所為
いずれも職業安定法63条2号
判示第3の所為 刑法223条1項
刑種の選択
判示第1の罪 懲役刑及び罰金刑を選択
判示第2,第4,第5の各罪
いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段
懲役刑につき 刑法47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重)
罰金刑につき 刑法48条1項
労役場留置 刑法18条(金5000円を1日に換算)
刑の全部執行猶予
懲役刑につき 刑法25条1項(5年間)
保護観察 刑法25条の2第1項前段
[量刑の理由]
(検察官の求刑:懲役3年及び罰金30万円,弁護人の科刑意見:執行猶予付き判決)
平成29年10月25日
大阪地方裁判所第6刑事部
裁判長裁判官 松田道別 裁判官 海瀬弘章 裁判官 馬場梨代

別紙1
番号 場所                    枚数
1  大阪市γ区δ□番□□号e□□□□号室    26
2  東京都渋谷区α□丁目□□番□号cビル□◆  28
3  同区ε×番××号f荘×××号室       619
4  名古屋市ζ区η×丁目×番××号g×××号室 12
5  福岡市θ区κ×丁目×番××号h××××号室 13
合計枚数                     698
別紙2
A i
B j
C k
以上

JKビジネス 東京・大阪に集中

 無店舗型の「所在地」というのがよくわかりませんが、東京63%、大阪28%。
 入店してから退店するまでを録画した被告人が居ましたけど、裏オプションを選択する場面もなく、単なる売春宿みたいでしたよ。

http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180331/0009953.html
JKビジネス 東京・大阪に集中
03月31日 08時42分

女子高校生と散歩できるなどとうたって営業し、児童買春の温床になっているとして政府が対策に乗り出している「JKビジネス」の店は全国で131に上り、このうち9割余りが東京と大阪に集中していることが警察庁のまとめでわかりました。

「JKビジネス」は、女子高校生の制服を着た従業員と散歩や添い寝をしたり、マッサージを受けたりできるとうたって営業し、政府は一部の店で性的サービスが行われるなど、児童買春の温床になっているとして対策に乗り出しています。
警察庁によりますと、「JKビジネス」の店は去年の年末時点で全国で131に上り、半年前と比べて17店増加したということです。
このうち、東京が83店と全体の63%を占めたほか、大阪が37店で28%と9割余りが東京と大阪に集中しているということです。
また、経営実態が把握しにくいとされる「無店舗型」が、全体の44%の58店と急増しているということです。
「JKビジネス」をめぐっては、18歳未満を働かせることを禁止するとか、届け出を義務づけるといった条例が東京や大阪など5つの都府県で制定されていて、警察庁は「被害を防ぐための催しを中学や高校で開くとともに、違法な営業については取締りを強化していく」としています。

強制わいせつ罪の保護法益~最高裁判所調査官 馬渡香津子「強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否」ジュリスト1517

 弁護人は「風俗犯だ」と主張してました。だから性的意図が必要になるって。
 大法廷は個人的法益だと匂わせたものの、性的自由なのか羞恥心なのかには言及していません。どういう内容になるかによって、乳幼児の権利侵害が観念できるかという問題も出てきます。
 
 

解説
Ⅰ.強制わいせつ罪及び強姦罪等の性的な被害に係る犯罪規定の保護法益
1.学説の変化
 明治13年に制定された旧刑法では,公然わいせつ罪及びわいせつ物陳列罪を第2編(公益に関する重罪軽罪の中の第2編第6章・風俗を害する罪)に,強制わいせつ罪及び強姦罪等を第3編(身体財産に対する重罪軽罪)にそれぞれ規定しており,強制わいせつ罪及び強姦罪等を個人的法益に対する罪の一環として捉えていたと考えられる。ところが,明治41年に施行された現行刑法は,強制わいせつ罪及び強姦罪等を第22章「猥褻,姦淫及び重婚の罪」の中に,社会的法益を保護法益とする公然わいせつ罪やわいせつ物頒布罪等と共にまとめて規定したことから,強制わいせつ罪及び強姦罪等も社会的法益に対する罪として位置づけられたとの整理がされていたようである。もっとも,学説上は,強制わいせつ罪及び強姦罪等が「性的自由に対する罪」としての性格を有するとの理解が早くから共有されていたようであり,性的自由を侵害する行為は,同時に性に関する善良な風俗をも害するとの理解により,強制わいせつ罪及び強姦罪等は,個人的法益(性的自由)に対する罪としての性格と社会的法益(風俗)に対する罪としての性格を併有すると解されることが多かったようである(嶋矢貴之「旧刑法期における性犯罪規定の立法・判例・解釈論」刑事法ジャーナル45号129頁,成瀬幸典「強制わいせつ罪に関する一考察(上)」法学〔東北大学〕80巻5号3頁等参照)。
 戦後は,強制わいせつ罪及び強姦罪等が個人的法益に対する罪であることは当然とされつつ,しばらくは,個人的法益に加えて社会的法益(風俗,道徳)に対する罪でもあることの意義を強調する学説もあったが(例えば,日高義博「強制わいせつ罪における主観的要件・問題提起と自説の展開」植松正ほか・現代刑法論争Ⅱ〔第2版〕70頁),次第に,社会的法益を強調する学説はみられなくなる。また,強姦罪にいう個人的法益の中身についても,昭和50年代頃までは,被害者自身の性的自由だけではなく,男性に対する女性側の義務を意味することが多い「貞操」を挙げる学説や裁判例が散見されたが(例えば,団藤重光編・注釈刑法(4)277頁[団藤]等),次第に「貞操」に言及するものはみられなくなり,性的自由ないし性的自己決定権に純化していく変化がみられる(佐伯仁志「刑法における自由の保護」曹時67巻9号2472頁参照)。
2.最近の学説の状況
 現在では,強制わいせつ罪及び強姦罪等の主たる保護法益が個人的法益に対する罪であることについて,学説上に異論はみられず,その中身については「性的自由」ないし「性的自己決定権」と捉えるのが通説的見解といえる(大塚仁ほか編・大コンメンタール刑法〔第3版〕(9)[亀山継夫=河村博]65頁等)。
 これに対し,近年,「性的自由」「性的自己決定権」という言葉では,重大な保護法益侵害の実態を十分に捉え切れていないのではないかとの問題提起がされており,強制わいせつ罪及び強姦罪等の法益侵害性の中心はその暴力性にあるとの指摘や,被害者の人格や尊厳をも侵害するものであるとの指摘がされ(木村光江「強姦罪の理解の変化」曹時55巻9号2343頁等),新たな説明も様々に試みられている(例えば,井田良「性犯罪の保護法益をめぐって」研修806号3頁は,他人からのアクセスを欲しない「身体的内密領域」を侵害しようとする性的行為からの防御権という意味での性的自己決定権であるとし,山中敬一「強制わいせつの罪の保護法益について」研修817号3頁は,「性的不可侵性」であるとする)。
3.本判決における保護法益の捉え方
 強制わいせつ罪及び強姦罪等の保護法益とされる個人的法益の中身をどのように表わすのが最も適切かという近年の議論自体は,性的意図の要否を検討する上では直接関係するものではないことから,本判決には,その点への言及はないものの,「今日では,強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては,被害者の受けた性的な被害の有無やその内容,程度にこそ目を向けるべき」と判示し,強制わいせつ罪及び強姦罪等の保護法益とされる個人的法益を念頭に解釈すべきことが示されているものと思われる。なお,本判決が強制わいせつ罪及び強姦罪等を「性的な被害に係る犯罪」として判示しているのも,被害者の存在する強制わいせつ罪及び強姦罪等を,社会的法益を保護法益とする公然わいせつ罪やわいせつ物頒布罪等と区別して捉えていることを示すものと思われる。
Ⅱ.性的な被害に係る犯罪規定の特質
1.社会の受け止め方との関係
 性的な行為に関しては,その性質上,男女の社会的地位,夫婦・家族のあり方,多様な性的指向に関する理解等を含む広義の文化を踏まえなければ,その処罰規定を正確に理解することが困難という側面がある。強姦が犯罪とみなされること自体は,かなり普遍的な理解であったように思われるものの,それが何故犯罪とされるのかについての理解や,強姦罪の外延となるような性的行為のどこまでを犯罪として捉えるのかに対する理解は,時代,地域,宗教,道徳観,社会(男性優位社会か,男女同権社会か等をも含む)が形作る広義の文化によって,かなり異なる。そのため,性的な被害に係る犯罪は,何が犯罪なのか,そしてその外延をどのように捉えるべきなのかは,それぞれの社会の受け止め方を踏まえなければ決することができないと考えられ,この点は,普遍的な理解が比較的容易な生命・身体・財産に対する罪とは大きく異なる特質といえる。
 諸外国においても,昭和45年(1970年)以降だけをみても,性的な被害に係る犯罪規定は,各国の実情に応じて,構成要件を含めた大きな改正がされている(刑事比較法研究グループ「本企画の概要」刑事法ジャーナル45号4頁において,イギリス,アメリカ,カナダ,ドイツ,スイス,フランスの状況について詳細に論じられている)。このような諸外国における立法の動きは,本判決が判示しているように「その時代の各国における性的な被害の実態とそれに対する社会の意識の変化に対応していることを示すもの」とみることができ,性的な被害に係る犯罪規定の特質の現われの一つとして理解できる。
 このようなことから,本判決は「元来,性的な被害に係る犯罪規定あるいはその解釈には,社会の受け止め方を踏まえなければ,処罰対象を適切に決することができないという特質があると考えられる。」と判示し,性的な被害に係る犯罪規定を解釈する場面においても,社会の受け止め方とその変化を踏まえたものでなければならないとしたものと思われる。
2.性的な被害に係る犯罪に対する我が国における社会の受け止め方の変化
 個人の尊厳,男女平等を普遍的価値と認める社会においては,性的な行為は対等な関係の下で自由意思に基づいて行われるべきものとの考え方へと社会の受け止め方や規範意識が変化していき,やがては,社会全体として,男性だけではなく女性の視点も踏まえて性的な被害の実態等が見直されていく流れは必然的なものと考えられる(平成22年に閣議決定された「第3次男女共同参画基本計画」等参照)。
 また,性的コミュニケーションを交わすのが男女間には限られないとの理解から,その外延が徐々に広がっていくという流れもある。このような大きな流れとしての変化は,各国の実情や各国の社会の受け止め方による差異があるとはいえ,諸外国の法改正や後述のような我が国の刑法改正の状況に照らしてみても共通して認められるように思われる。
 もっとも,社会の受け止め方の変化は,ある日突然生じるものではなく,緩やかに変化していく場合が多いと考えられるし,意識変化の方向性やスピード感も各社会(各国)の実情によって差異が当然生じてくる性質があることにも留意が必要と思われる。
 そこで,我が国における社会の受け止め方について,昭和45年当時と比べた変化をみると,以下のような点を指摘できるものと思われる。
(1)保護法益の学説上の理解の変化
 前述のとおり,強制わいせつ罪及び強姦罪等の保護法益に関し,昭和45年当時には,個人的法益に加えて道徳的色彩をもつ社会的法益に対する罪であることが強調されたり,「貞操」に言及されたりすることもあったが,現時点で,道徳的犯罪である点を強調するものはみられないし,「貞操」に言及する見解も見当たらない。このような保護法益の理解の変化自体,社会一般の性的な被害に係る犯罪に対する理解の変化を反映しているものと思われる。

嘉門優「強制わいせつと痴漢行為との区別について」季刊刑事弁護93号

 都市伝説である「下着の中に手を差し入れたら強制わいせつ罪、そうでないのは卑わい行為」というへんの話を学問的に分析されているようです。
 強制わいせつ罪のわいせつ行為については、学説は強度を問わずに「性的自由・性的羞恥心を害する行為」というのが多くて、卑わい行為と全面的にかぶることになっています。学者は定義とその影響をあまり考えていなかったようです
 大法廷h29.11.29はわいせつ行為の定義を断念する一方で、軽いのは卑わい行為で、法定刑に見合うだけの強度があるのがわいせつ行為だと説明しています。痴漢する人に、法定刑を考えろというのでしょうか。
 次稿の非接触型というのは、陰部見せつけるとか、精液かけるとか、脅して裸画像送らせるとか、用便中の姿態を凝視するとかでしょうか。

はじめに
本稿執筆のきっかけとなったのは、川上博之弁護士(大阪弁護士会)から提示された問題意識、つまり、強制わいせつ罪と「いわゆる迷惑防止条例における痴漢行為処罰規定」’との区別、より具体的には、「背後からいきなり被害者のでん部を着衣の上から1回触った行為」についても、強制わいせつ罪が成立しうるのかというものであった。両罪の法定刑は大きく異なる(強制わいせつ罪は6月以上10年以下の懲役、迷惑防止条例違反〔大阪府の場合〕は6月以下の懲役または50万円以下の罰金)だけでなく、とくに、致傷結果が発生した場合、強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項)となるか、あるいは、痴漢行為と傷害罪の併合罪となるかによって、被告人の刑責に重大な影響をもたらす。にもかかわらず、区別基準が必ずしも明らかではなく、実務上、検察官の起訴裁量による部分が大きいとされてきた。そこで、本稿では、これまでの裁判例の分析を踏まえて、両罪の区別基準をより具体的に示すことを試みることとしたい。

・・・・・・・・・・・・
わいせつ行為と卑わい行為の区別
第二に、個人に対する性的侵害の重大性に関する裁判例の分析を行う。
類型化にあたっては、性的領域への侵入の程度、性的侵害の重大性という観点から「接触」という要素を重視し、接触型と非接触型に分類した(次頁表参照)。
なお、本稿の問題関心が痴漢行為との区別であることとの関係上、接触型を中心に扱うこととし、非接触型についての詳細は別稿に譲ることとしたい。
強制わいせつ罪におけるわいせつ行為の典型例として、第一に、被害者の「肛門、口」への行為者の「男性器」の挿入行為(A類型)が挙げられるが、2016年改正に伴い、これらは新177条の適用対象となった20.一方、被害者の「膣、肛門、口」への行為者の「指や異物」の挿入行為は依然として、強制わいせつ罪の適用対象である(B類型)。
そして、直接、性的部位に触れる行為(C類型)についても、被害者への性的な侵襲性が比較的高いために、強制わいせつ罪が認められる傾向にある一方24、被害者の性的部位を「着衣の上から」触る場合(D類型)、通常は痴漢行為と分類される。
ただし、態様が「執よう」な場合、つまり、着衣の上からでも「弄んだ」といえるような態様である場合、強制わいせつ罪とされてきた25.また、被害者の「非性的部位」に触れる場合(E類型)にも本罪が成立することがあり、その典型例は唇への接吻である26°ただし、接吻だけでは「性欲を刺激、興奮又は満足させる行為」とはいえず、相手方の意思に反して「無理やり」行われたといいうる場合にのみ強制わいせつ罪とされてきた27.他方、唇以外の非性的な部位(頬やあご等)にキスする場合には、その行為が、通常は性欲刺激・興奮・満足に結びつくとは評価しえないため28、無理やり行ったとしても、強制わいせつ罪を肯定すべきではないとされる29.同様の理由から、他の非性的部位(被害者の指や大腿部など)をなめたり触ったりする行為についても、無理やり行ったとしても強制わいせつ罪は認められない30.以上のように、強制わいせつ罪のわいせつ行為は、接触部位、接触行為の性的意味合い、態様の執よう性といった観点から、「性欲を刺激、興奮又は満足させる行為」と評価しうるかどうかが判断されている。
したがって、そのような行為ではないと認められ、かつ、公然性が肯定されれば、原則的には、痴漢行為処罰規定の適用対象となる。
その典型例は、被害者の身体を「着衣の上から」触る類型である。
前述の強制わいせつ罪の実務から、①性的部位を着衣の上から触ったが、態様が執ようでない場合は、強制わいせつ罪ではなく、条例上の痴漢行為として処罰されることになる3'。
また、②着衣の上から執ように撫で回したとしても、触ったのが「非性的部位」である場合は、基本的には条例上の痴漢行為とされてきた(ただし、前述の唇への接吻行為を無理やり強要した場合は強制わいせつ罪となりうる)32。
なお、③非性的部位を着衣の上から触ったが、態様が執ようではなかった場合には、痴漢行為ともならず、無罪とされた事例がある33.本事案では、着衣の上から数秒間、腰部を触ったという事案であり、この場合、「卑わいな言動」にすら当たらないとされた。
結論
判例において、強制わいせつ罪が軽微な性的侵害に対しても広く適用される傾向にある。
しかし、条例に痴漢行為処罰規定がある以上、両罪の区別を意識しながら、強制わいせつ罪のより限定的な適用が実務上より意識されなければならない。
本稿で示したように、両罪を区別するために、より法定刑の重い強制わいせつ罪について、第一に、「具体的な個人の意思に反して直接的に強制する」という個人的法益に対する罪としての要素として、「被害者の抗拒を著しく困難にならしめる程度に至っていること」が要求され、その程度には達しないが、「被害者の抗拒を抑制する程度」には達していた場合は痴漢行為となる。
第二に、強制わいせつ罪の場合、個人に対する「重大な性的侵害」が要件となり、具体的な判断基準として、客観的に見て「性欲を刺激、興奮又は満足させる行為」であることが要求される。
そうではなく、公然と「いやらしくみだらな言動」がなされた場合には、迷惑防止条例の痴漢行為として処罰される可能性があると思われる。
今回、紙幅の都合上、両罪の罪質や各要件について詳細な検討ができなかったことから、次槁において非接触型のわいせつ行為も含めて論じる予定である。

今後まず行われるべきことは, イレズミの安全性を確保するための方途を検討し,実施に移すことであろう。 辰井聡子「医行為概念の検討-タトゥーを彫る行為は医行為か-」立教法学97号

技術においてはイレズミ先進国であるはずの日本で, こうした取り組みが遅れているのは, イレズミを反社会的なものと捉える社会通念が根強く存在した(する)ためと考えられる。
すでに述べたように,免許制度には,危険性を伴うが有益である行為を保護するための制度という側面がある。
イレズミが,比較的最近まで,前近代の遺物ないし排除されるべき反社会的勢力の象徴とみなされていたとすれば,免許制度その他の仕組みによって「保護」するという発想も浮かぶことはなかったであろう。
しかし,その間に, イレズミを取り巻く状況は大きく変わっていった。
イレズミは,第二次大戦後に非犯罪化こそされたものの, イレズミをめぐる保健衛生の向上と被施術者の保護が国によって構想されることはなかった。
その結果, イレズミによって発生しうる公衆衛生上の危険は,すべて施術者,被施術者双方の自己責任の下に置かれてきたのである。
2 イレズミ規制の方向性
現代において, イレズミは,反社会的勢力の専有物ではない。
アートとしてのイレズミ, ファッションとしてのイレズミは,国内外で,広く一般の人が楽しむものとなり,先住民族の文化復興運動の高まりに伴って,伝統文化としてのイレズミの価値にも脚光があたっている。
日本国内でも,比較的最近まで風習としてイレズミを保持していたアイヌ文化,琉球奄美文化の伝統を,明治以降の日本が不当に取り扱ってきた歴史が認識されつつある。
日本にとって,イレズミは,排除されるべき対象から,改めてその価値を認め,社会的に包摂されるべき対象に変わっていることを, まずは率直に認めなければならないであろう。
一方で, イレズミの施術は,身体に対する有意の侵襲であり,安全性を保つための社会的仕組みがあることが望ましい。
本稿で検討してきたように,医師法は当然のこととしてこれを禁止の対象に含めておらず, ほかにイレズミを規制する法律も存在しない。
すでに述べたように, イレズミの危険が「自己責任」の下におかれてきたのは, イレズミが反社会的なものと位置づけられてきる。
したがって,今後まず行われるべきことは, イレズミの安全性を確保するための方途を検討し,実施に移すことであろう。
諸外国の取り組みを参考に, イレズミを施術する行為について,届出や認証の制度を設け,衛生基準の明確化や研修の確保,消費者への情報提供等を通じ,被施術者,施術者双方の保護がなされることが望ましい。
過渡的な手段としては,業界団体の自主的な資格・自主基準に委ねる方法も考えられるが,身体への侵襲性,衛生上の危険性の程度に鑑みると,立法を通じて,公的な制度が設けられるのがより適切と思われる。
その際にはあわせて,江戸末期以降,十分な根拠なく「反社会的」なものとして扱ってきたイレズミを,改めて社会的に包摂するための措置が取られるべきであろう。
たとえば, イレズミを理由とした入浴施設等の利用拒否については,不当な差別と位置づけ,その抑制が図られる必要があると思われる。
おわりに
イレズミは,禁止の対象ではなくなった後も,その安全性を保つための公的な取り組みによる保護や恩恵を受けることなく放置され,施術者・被施術者の自己責任の下に置かれてきた。
今回の取締りは, そうした状況の中で, もっとも真摯にイレズミに取り組み,高い安全性を保った施術を行ってきた被告人を突然おそったものである。
イレズミ規制の歴史に対する配盧も,医師法の趣旨への理解もなく,医師法17条の不当な拡大解釈によって気まぐれに行われたこのような取締りを司法が追認するようなことがあれば, わが国が法の支配する社会であるという事実すら危ういものとなる。
「安全性」の標語の下に安易な拡大傾向が認められてきた「医行為」の概念について,本稿が投じた一石が,妥当な判断を求める社会の動きにつながることを期待したい。

「女性教諭は滋賀県警から取り調べを受けることを学校長に連絡し、事案が発覚。」という端緒

 警察から「自分で所属長に報告しろ。さもないと警察から連絡する」って言われますよね。
 バレそうになったら、詳しい弁護士に相談した上で、依願退職して、自首すれば、逮捕とか懲戒解雇とか実名報道を回避できるし、教員免状も温存できる。逮捕されなければ示談して罰金・起訴猶予という余裕も出てくる。
 懲戒免職になると、教員免状の失効公告で実名公表が避けられない。
 女性教員の児童淫行罪で実刑事案も観測されています。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180327-00000032-kyt-soci

生徒と淫行、女性教諭を懲戒免 滋賀、わいせつ処分突出
3/27(火) 23:10配信 京都新聞
 滋賀県教育委員会は27日、自校の女子生徒にわいせつ行為を行った県立校の男性教諭と、教え子だった男子高校生と淫行した公立中学校の女性教諭を同日付で懲戒免職処分にした、と発表した。部下の女性教諭にセクハラ行為を行った八日市養護学校の男性教諭(55)も停職3カ月の処分にした。2017年度のわいせつ・セクハラ行為による教諭の処分は計6件で、過去3年と比較しても突出して多い異常事態となっている。
 県教委によると、県立校の男性教諭は16~17年にかけ、女子生徒と複数回ホテルに行き、キスをしたり、体を触ったりした。女子生徒の保護者が男性教諭と一緒に写っている写真を見つけ、発覚した。
 女性教諭は昨年8月、以前に勤務していた中学校で担任をしていた男子高校生を自宅に招き入れ、淫行した。女性教諭は滋賀県警から取り調べを受けることを学校長に連絡し、事案が発覚。女性教諭は2月下旬、児童福祉法違反容疑で書類送検された、という。
 県教委は被害者保護を理由に、男性教諭の年齢や勤務する学校の種別、女性教諭の年齢などを公表していない。

「児童ポルノ7千人の購入者リストに教員、政治家ら 警察当局、攻めの捜査」「7000人購入者リスト活用 昨年の児童ポルノ摘発 最多2413件 警視庁など、捜索先で入手 違法所持 洗い出し徹底」という報道

 アリスのDVDの件です。
 リスト7200人のうち2700人特定して、全国協働方式で捜索して200人検挙ですよ。
 当職が相談を受けた場合は、こう回答しています
http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2018/01/07/000000
http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2018/01/01/232745

 捜索して児童ポルノが現認されなかったとか、弁護士に相談して破壊した旨を相談に行ったのは200人には含まれてないと思います。

 警察は逮捕しないという方針でやっていて、破棄しておけば、起訴とか罰金はありません。逮捕されるとか罰金になるとかいう不安をあおる弁護士は信用しないでください。「捜索の心配はない」という楽観的な弁護士も信用しないでください。

http://www.sankei.com/affairs/news/180326/afr1803260009-n1.html
児童ポルノ7千人の購入者リストに教員、政治家ら 警察当局、攻めの捜査
 全国の警察が昨年1年間に摘発した児童ポルノ事件は2413件となり、過去最多を記録した。警視庁などは、医師や教員、政治家ら約7千人に及ぶわいせつDVDなどの購入者リストを入手。各地の警察が連携して人物を特定し、「攻めの捜査」を展開している。

 きっかけは、昨年5月、「厳選DVDショップありす」の関係者ら4人の逮捕。押収したパソコンなどを分析したところ、そこに残されていたのは、国内では最大規模とみられる約7千人もの購入者リストだった。

 リストには、メールアドレスや購入したDVDのタイトルなども記載。後に捜査で判明するが、職業は、小学校教員や塾経営者から、警察官や市議会議員、県庁職員らまで幅広い。

 リストを精査した警視庁はその後、事件化が可能と判断した約2700人分のデータを、関係各地の警察本部に提供。これまでに200人以上が児童ポルノの所持容疑で摘発されている。ある県警では所持容疑の家宅捜索で別の子供の映像データを発見、児童館のトイレで盗撮していた男の逮捕につながった。

◎7000人購入者リスト活用 昨年の児童ポルノ摘発 最多2413件 警視庁など、捜索先で入手 違法所持 洗い出し徹底
2018.03.26 京都新聞
 全国の警察が昨年1年間に摘発した児童ポルノ事件は2413件となり、過去最多を記録した。声を上げにくい子どもの被害は把握が難しいとされる中、警視庁などは、医師や教員、政治家ら約7千人に及ぶわいせつDVDなどの購入者リストを入手。各地の警察が連携して人物を特定し、違法行為を徹底的に洗い出すなど、「攻めの捜査」を展開している。

 きっかけは、警視庁少年育成課などが昨年5月に、会員制販売サイト「厳選DVDショップありす」の関係者の男ら4人を逮捕したことだった。容疑は、インターネットで児童ポルノDVDを販売したとされる児童買春・ポルノ禁止法違反。関係先を家宅捜索し、押収したパソコンなどを分析したところ、そこに残されていたのは、国内では最大規模とみられる約7千人もの購入者リストだった。

 リストには、氏名だけでなく、メールアドレスや購入したDVDのタイトルなども記載。後に捜査で判明するが、職業は、日常的に子どもに深く関わる小学校教員や塾経営者から、警察官や市議会議員、県庁職員らまで幅広く、児童ポルノ問題の深刻な状況をうかがわせる内容に満ちていた。

 児童ポルノは、所持していること自体が違法行為となる。DVDの送付先は自宅ではなく、郵便局で品物の受け取りができる「局留め」を多用。購入者が家族らに知られるのを防ぐことができる一方、郵便局から引き取る際は身元確認が必要なため、割り出しができれば、捜査の重要な手掛かりになる可能性も高かった。

 リストを精査した警視庁はその後、事件化が可能と判断した約2700人分のデータを、関係各地の警察本部に提供。昨年秋ごろから捜査が本格化し、これまでに200人以上が児童ポルノの所持容疑で摘発されている。ある県警では所持容疑の家宅捜索で別の子どもの映像データを発見、児童館のトイレで盗撮していた男の逮捕につながった。

 このようにリストの捜査をきっかけに露見した事件もいくつかあり、警察関係者は「リストを基に攻めの捜査ができている」と話す。

 警察庁の集計によると、昨年1年間に摘発された児童ポルノ事件の内訳は、子どもの裸の写真を撮影する「製造」が1414件で、前年比約1割増。小児性愛者らがグループで画像を共有するなどの「提供・公然陳列」が798件でほぼ横ばいだった。これに対し、子どもの裸の画像を保有する「所持等」は201件で、前年の約3倍に増加し、リストによる捜査の効果が表れたことがうかがえる。

 近年は、スマートフォンで自ら撮影した裸の画像を送信させられる「自画撮り被害」が拡大しているが、子どもは会員制交流サイト(SNS)などで知り合った相手と直接やりとりをしている。画像を共有するグループも、限られた仲間内だけで情報交換。DVD販売業者のような外部の存在を挟まないため、購入者リストのような端緒は残らず、被害の潜在化が進んでいる恐れがある。

 昨年から続く購入者リストに基づく摘発は、被害全体の実態から見れば氷山の一角でしかない可能性が高いが、ある捜査幹部は「日本の児童ポルノ問題は、世界的にも有名になっている。需要があるから被害が生まれるのであり、ちゃんと摘発していかないといけない。リストによる捜査は、児童ポルノ自体が悪だと警鐘を鳴らせた」と意義を強調している。(共同)

【写真説明】

警視庁と埼玉県警が押収した児童ポルノのDVDやパソコンなど=2017年5月、東京都中野区の野方署

【写真説明】

児童ポルノ事件の摘発件数の推移

児童ポルノ 摘発最多 昨年2413件 購入リスト7000人入手
2018.03.26 中国新聞
児童ポルノ 摘発最多
昨年2413件 購入リスト7000人入手

 全国の警察が昨年1年間に摘発した児童ポルノ事件は2413件となり、過去最多を記録した。声を上げにくい子どもの被害は把握が難しいとされる中、警視庁などは、医師や教員、政治家ら約7千人に及ぶわいせつDVDなどの購入者リストを入手。各地の警察が連携して人物を特定し、違法行為を徹底的に洗い出すなど、「攻めの捜査」を展開している。

国内最大規模か

 きっかけは、警視庁少年育成課などが昨年5月に、会員制販売サイト「厳選DVDショップありす」の関係者の男ら4人を逮捕したことだった。容疑は、インターネットで児童ポルノDVDを販売したとされる児童買春・ポルノ禁止法違反。関係先を家宅捜索し、押収したパソコンなどを分析したところ、そこに残されていたのは、国内では最大規模とみられる約7千人もの購入者リストだった。

 リストには、名前だけでなく、メールアドレスや購入したDVDのタイトルなども記載。後に捜査で判明するが、職業は、日常的に子どもに深く関わる小学校教員や塾経営者から、警察官や市議会議員、県庁職員らまで幅広く、児童ポルノ問題の深刻な状況をうかがわせる内容に満ちていた。

 児童ポルノは、所持していること自体が違法行為となる。DVDの送付先は自宅ではなく、郵便局で品物の受け取りができる「局留め」を多用。購入者が家族らに知られるのを防ぐことができる一方、郵便局から引き取る際は身元確認が必要なため、割り出しができれば、捜査の重要な手掛かりになる可能性も高かった。

別の事件露見も

 リストを精査した警視庁はその後、事件化が可能と判断した約2700人分のデータを、関係各地の警察本部に提供。昨年秋ごろから捜査が本格化し、これまでに200人以上が児童ポルノの所持容疑で摘発されている。ある県警では所持容疑の家宅捜索で別の子どもの映像データを発見、児童館のトイレで盗撮していた男の逮捕につながった。

 このようにリストの捜査をきっかけに露見した事件も幾つかあり、警察関係者は「リストを基に攻めの捜査ができている」と話す。

 昨年から続く購入者リストに基づく摘発は、被害全体から見れば氷山の一角でしかない可能性が高いが、ある捜査幹部は「リストによる捜査は、児童ポルノ自体が悪だと警鐘を鳴らせた」と意義を強調している。(共同)

判例変更は殺生だっせ~判例変更と憲法31条,39条との関係~最高裁調査官馬渡香津子「強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否 最高裁平成29年11月29日大法廷判決」 ジュリスト1517 p78

 従前の判例によれば無罪なのを、判例変更までした実刑にするのは殺生だっせという論点です。
 上告理由に盛り込み忘れて、佐伯論文を性的意図の判例変更の話を見つけたので弁論で簡単に指摘しただけになりました。
 なお「松木俊明ほか.法セ758号48頁」って「松木俊明=奥村徹園田寿・法セ 758号48頁」

Ⅵ、判例変更と憲法31条,39条との関係
ところで,本件の弁論において,弁護人は,判例を被告人に不利に変更して実刑に処すことは,憲法31条の定める適正手続違反であるし,遡及処罰を禁じた憲法39条に違反するから,本件において,上告審として,判例を変更して被告人に強制わいせつ罪の成立を認めることは許されないと主張した。
判例変更と憲法39条との関係については,最高裁判例があり,行為当時の最高裁判所の示す法解釈に従えば無罪となるような行為であっても,これを処罰することは憲法39条に違反しないとされている(最二小判平成8.ll. 18刑集50巻10号745頁)。
また,憲法31条にいう「法律」は制定法を指すと解されるから,罪刑法定主義との関係においても,判例の不利益変更が憲法31条に違反することはないと解される(平成8年判例最高裁判所調査官解説・今崎幸彦・平成8年度最判解刑事篇157頁参照)。
もっとも,事案によっては,判例を信頼し,これに基づき処罰されないと信じて行動した者を判例変更によって処罰することは,国民の判例に対する信頼の保護の観点から問題があり得ることも指摘されている(今崎・前掲163頁参照。
なお,平成8年判例に付された河合伸一裁判官の補足意見は,故意を欠くとする余地があるとする。
他方,佐伯仁志「判例変更と適正手続」日本法学82巻2号324頁は,これを憲法31条の定める適正手続の問題と捉え,判例変更に際しては,適正手続に反しないような方法によるべきであるとする)。
しかし,本件 最高裁大法廷時の判例においては,被告人は,本件強制わいせつ行為における行為の様子等を撮影して児童ポルノを製造した罪,その児童ポルノを提供した罪,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反でも起訴されて,強制わいせつ罪と併合して有罪認定されており,本件宣告刑(懲役3年6月)は,児童ポルノ製造罪の法定刑(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金・児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条3項)に併合罪加重をした懲役刑の刑期(4年6月以下)を超えるものではないこと,本件の被告人が,昭和45年判例を特に信頼して,違法性の意識を欠いていたなどの事情はうかがわれず,適正手続や故意に疑問を生じさせるような状況はおよそ認められないことからすれば,判例を被告人に不利益に変更し,強制わいせつ罪について有罪とした第1審判決を是認した原判決を維持することは,どのような観点からみても,問題がないと考えられる。
このようなことから,本判決は,昭和45年判例違反をいう所論が原判決破棄の理由にならないことを判示した上で,念のため,「なお,このように原判決を維持することは憲法31条等に違反するものではない。」との結論のみを示したものと思われる。
Ⅶ、本判決の意義本判決は,強制わいせつ罪の成立要件として性的意図を要求していた昭和45年判例を約半世紀ぶりに変更し,強制わいせつ罪の解釈を明確化したものとして重要な意義を有するといえる。
なお,本判決の評釈として知り得たものに,前田雅英・捜査研究804号2頁,成瀬幸典・法教449号129頁,豊田兼彦・法セ757号123頁,村井敏邦「強制わいせつ罪の成立に,わいせつ目的を必要とするか」時の法令2043号50頁,曲田統・法教450号51頁,松木俊明ほか.法セ758号48頁がある。

「わいせつ」の定義はしないことにした~「いわゆる規範的構成要件である「わいせつな行為」該当性を安定的に解釈していくためには, これをどのように定義づけるかよりも, どのような判断要素をどのような判断基準で考慮していくべきなのかという判断方法こそが重要であると考えられる。本判決が, 「わいせつな行為」の定義そのものには言及していないのは, このようなことが考えられたためと思われる。」最高裁調査官馬渡香津子

 頼まれた原稿には「わいせつの定義、最高裁は先送りした」って書いちゃったけど、定義あきらめたようです。
 もう定義できないんですよ。
 そこで、わいせつ行為リスト方式ですよ。弁論で主張しましたよ。

強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否
最高裁平成29年11月29日大法廷判決最高裁調査官馬渡香津子 ジュリスト1517 p78
V・「わいせつな行為」の定義,判断方法
1. 「わいせつな行為」概念の重要性性的意図が強制わいせつ罪の成立要件でないとすれば, 「わいせつな行為」に該当するか否かが強制わいせつ罪の成否を決する上で更に重要となり, 「わいせつな行為」該当性の判断に際して,行為者の主観を一切考慮してはならないのかどうかを含め, これをどのように判断し,その処罰範囲を明確化するのかが問題となる。
また,強制わいせつ致傷罪は,裁判員裁判対象事件であることも考えれば, 「わいせつな行為」の判断基準が明確であることが望ましい。
2 定義
(1) 判例,学説の状況
強制わいせつ罪にいう「わいせつな行為」の定義を明らかにした最高裁判例はない。
他方, 「わいせつ」という用語は,刑法174条(公然わいせつ), 175条(わいせつ物頒布罪等) にも使用されており, 最一小判昭和26.5. 10刑集5巻6号1026頁は, 刑法175条所定のわいせつ文書に該当するかという点に関し, 「徒に性慾を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道義観念に反するものと認められる」との理由でわいせつ文書該当性を認めているところ(最大判昭和32.3・13刑集ll巻3号997頁〔チャタレー事件〕も,同条の解釈を示すに際して,その定義を採用している),名古屋高金沢支判昭和36.5.2下刑集3巻5=6号399頁が,強制わいせつ罪の「わいせつ」についても, これらの判例と同内容を判示したことから,多くの学説において, これが刑法176条のわいせつの定義を示したものとして引用されるようになった(大塚ほか編・前掲67頁等)。
これに対し,学説の中には,刑法174条, 175条にいう「わいせつ」と刑法176条の「わいせつ」とでは,保護法益を異にする以上, 同一に解すべきではないとして,別の定義を試みているものも多くある(例えば, 「姦淫以外の性的な行為」平野龍一.刑法概説〔第4版) 180頁, 「性的な意味を有する行為,すなわち,本人の性的差恥心の対象となるような行為」山口厚・刑法各論〔第2版] 106頁, 「被害者の性的自由を侵害するに足りる行為」高橋則夫・刑法各論〔第2版〕124頁, 「性的性質を有する一定の重大な侵襲」佐藤・前掲62頁等)。
(2) 検討
そもそも, 「わいせつな行為」という言葉は,一般常識的な言葉として通用していて,一般的な社会通念に照らせば, ある程度のイメージを具体的に持てる言葉といえる。
そして, 「わいせつな行為」を過不足なく別の言葉でわかりやすく表現することには困難を伴うだけでなく,別の言葉で定義づけた場合に,かえって誤解を生じさせるなどして解釈上の混乱を招きかねないおそれもある。
また, 「わいせつな行為」を定義したからといって, それによって, 「わいせつな行為」に該当するか否かを直ちに判断できるものでもなく,結局,個々の事例の積み重ねを通じて判断されていくべき事柄といえ, これまでも実務上,多くの事例判断が積み重ねられ,それらの集積から,ある程度の外延がうかがわれるところでもある(具体的事例については,大塚ほか編・前掲67頁以下等参照)。
そうであるとすると,いわゆる規範的構成要件である「わいせつな行為」該当性を安定的に解釈していくためには, これをどのように定義づけるかよりも, どのような判断要素をどのような判断基準で考慮していくべきなのかという判断方法こそが重要であると考えられる。
本判決が, 「わいせつな行為」の定義そのものには言及していないのは, このようなことが考えられたためと思われる。
もっとも,本判決は,その判示内容からすれば,上記名古屋高金沢支判の示した定義を採用していないし,原判決の示す「性的自由を侵害する行為」という定義も採用していないことは明らかと思われる(なお,実務上, 「わいせつな行為」該当性を判断する具体的場面においては,従来の判例.裁判例で示されてきた事例判断の積み重ねを踏まえて, 「わいせつな行為」の外延をさぐりつつ判断していかなければならないこと自体は,本判決も当然の前提としているものと思われる)。
3. 「わいせつな行為」の判断方法
(1) 性的な意味の有無強制わいせつ罪が性的自由ないし性的自己決定権を中核とする性にかかわる個人的法益に対する罪であることに照らせば, 「わいせつな行為」であるかどうかを判断するための核心部分は,当該行為に性的な意味があるか否かであると考えられる。
ところが, どのような行為に性的な意味があるといえるのかについて考えてみると,性交類似行為等のように,その行為の外形自体から直ちに性的意味があることが明らかな行為(以下,便宜上「第1類型」という)がある一方,幼児の裸の写真を撮影する行為(家族が記念撮影の一環として行っている場合もあれば,家族が児童ポルノを製造している場合もある)やキスする行為(欧米風の挨拶の場合もあれば,性的意味のある場合もある)のように,その行為の外形自体だけでは,性的意味があるかどうかを直ちに判断できない行為(以下,便宜上「第Ⅱ類型」という) とが考えられる。
そして,第Ⅱ類型の行為については,その行為が行われた際の具体的状況等(例えば,③行為者と被害者の関係性,⑥行為者及び被害者の各属性等,@行為に及ぶ経緯,周囲の状況等)をも考慮した上で,その行為に性的意味があるか否かを判断せざるを得ない。
本判決が, 「刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で, 当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為がある一方,行為そのものが持つ性的性質が不明確で, 当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある」と判示しているのは,上記のようなことを明らかにしたものと思われる。
(2) 性的な意味合いの強さの程度次に,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが「わいせつな行為」に該当するとは考えられない点にも留意が必要である。
例えば,性的関心をもって手に触れるとか,性的関心に基づいて衣服を着けた者を撮影するといった行為(行為そのものが持っている性的性質がないか, あるとしても非常に希薄な行為,以下便宜上「第Ⅲ類型」という) も,性的な意味を帯びると考えられるが,いかに行為者が主観的に性的意図を込めて行ったものであったとしても, この程度の行為まで「わいせつな行為」として,強制わいせつ罪の処罰対象に含むことは, 同罪の法定刑の重さに照らして妥当性を欠くと思われる(第Ⅲ類型の中には,各都道府県で定められたいわゆる迷惑防止条例違反となり得るものはあるであろう)。
すなわち,強制わいせつ罪(刑176条前段,後段),準強制わいせつ罪(同178条1項),監護者わいせつ罪(平成29年改正で新設された同179条1項)は,それぞれに規定されている各態様(( i)暴行又は脅迫を用いる, (ii)13歳未満の者を相手とする, (Ⅲ)人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,もしくは抗拒不能にさせる, (iv)18歳未満の者に対し,監護者であることの影響力があることに乗じる)によって「わいせつな行為」をした者を, これらの各規定によって重く処罰しているのであるから,性的な意味がある行為の中でも, このような各態様によって,その行為を行うことが,保護法益(性的自由を中核とする性に関わる個人的法益)に対する重い侵害となるような行為,すなわち,性的な意味合いの強さが刑法176条等による非難に相応する程度に達している行為に限定されるべきと考えられる。
本判決が「同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない」と判示しているのは, このことを明らかにしたものと思われる。
(3) 判断基準したがって, ある行為が「わいせつな行為」に該当するというためには,①性的な意味があるか否か,②性的な意味合いの強さが刑法176条等による非難に相応する程度に達しているか否かを判断しなければならないと考えられるが, これらをどのような基準で判断すべきなのかが,更に問題となる。
これらの判断を当該被害者が実際に, 当罰性の高い性的意味を感じたか否かによるべきでないことは当然であり,他方で, 昭和45年判例の解釈を採用しない以上,行為者自身の性欲等を基準にすべきものでないことも明らかといえる。
結局,その判断は,社会通念に照らして客観的に判断されるべきと考えられる。
また,性的な被害に係る犯罪に対する社会の受け止め方は,前述のとおり時代によって変わり得るものであることからすれば,社会通念に照らして判断する際には,その時代の社会の受け止め方をも考慮しておく必要がある。
もっとも,犯罪規定の解釈においては,法的安定性が求められることも当然であるから,社会の受け止め方の変化を考慮する際には,慎重な姿勢も必要であり,従前の判例・裁判例の積み重ねを十分参酌する必要があろう。
本判決が, 「いかなる行為に性的な意味があり, 同条による処罰に値する行為とみるべきかは,規範的評価として,その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考盧しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる」と判示しているのは, このようなことを明らかにしたものと思われる。
(4) 具体的判断方法
そこで,その具体的判断方法を更に考えてみると, まずは,行為そのものが持つ性的性質の有無,程度に着目して,①性的な意味があるかどうか,②性的な意味合いの強さがどの程度かを検討すべきであって,それだけでは「わいせつな行為」該当性の判断がつかない場合(第Ⅱ類型の場合)には,次の段階として,行為そのものが持ち得る性的性質の程度を踏まえた上で, 当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも加えて判断していくことになろう。
本判決が「わいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては……」と判示しているのは, この点を明らかにしたものと思われる。
この場合には,事案ごとに様々な具体的状況(例えば,③行為者と被害者の関係性,⑥行為者及び被害者の各属性等〔性別.年齢.性的指向.文化的背景・宗教的背景等〕’@行為に及ぶ経緯,周囲の状況等〔行為が行われた時間,場所,周囲の状況,行為に及ぶまでの経緯,行為者及び被害者の各言動等〕)が考えられるところ,個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて, 当該行為の「わいせつな行為」該当性の評価に必要と考えられる判断要素を抽出し,それらの各事情を総合考慮することによって,社会通念に照らして,①性的な意味があるか,②当該行為の性的な意味合いの強さが刑法176条等の非難に値する程度であるか, を判断していくほかないものと思われる。
本判決が「事案によっては, 当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考盧し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ない」と判示しているのは,以上のような点を明らかにしたものと思われる。
(5) 行為者の目的等の主観的事情多くの場合には, 当該行為そのものが持ち得る性的性質の強さに加えて,③行為者と被害者の関係性,⑥行為者及び被害者の各属性等,@行為に及ぶ経緯,周囲の状況等の諸要素を総合考慮することにより,性的な意味の有無やその性的な意味合いの強さを判断することができるものと思われる。
しかし, 中には,行為者がどのような目的でその行為をしたのかという主観的事情を総合判断の一要素として考慮せざるを得ない場面も,少ないとはいえ,あり得ると考えられる。
例えば,当該行為そのものが持ち得る性的性質がさほど強くなく,行為者の主観以外の具体的状況を考慮したとしても,性的な意味ではない別の社会的意味が想定され得るような行為(例えば,監護者が児童を入浴させたり, その裸体を撮影する行為)では,最終的には,行為者の目的等の主観的事情を考慮に入れて判断せざるを得ない場合があると考えられる。
もっとも,主観的事情として考慮すべき内容は,行為者自身の性欲を満たす性的意図に限られないであろう。
被害者に対して性的屈辱感を感じさせることによって復讐等を果たす目的や,第三者らの性欲を満たすための性産業に提供する目的等であっても,社会通念に照らせば,そのような目的によって, 当該行為に強い性的な意味が付与されると考えられるので,それらの目的の有無も含めた主観的事情は,判断要素になり得ると考えられる。
他方で,客観的には性的な意味を強く持ち得るような行為であったとしても,医療目的や養育目的で行われていることが認められれば,社会通念上,通常は,性的な意味のない行為というべきであるから, 「わいせつな行為」に該当しないと考えられる(医療行為等に名を借りているだけで,実際には性欲を満たすことを専ら目的としていた行為などでは, また別の結論となり得よう)○本判決は, 「そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い」と判示し, 「わいせつな行為」該当性の判断方法を示し,その判断をする際に必要な場合には,性的意図だけでなく, 目的等も含めた行為者の主観的事情を考慮すべき場合があり得ることを明確に示すことにより, 昭和45年判例を変更する射程を明らかにしたものと思われる。
なお, このような主観的事情は,純粋に内心を探り当てて認定されるべきものでないことは当然であって,行為者の主観的目的が外部的徴表として表れていなければ,行為者の目的を認定することは困難であり,その認定は慎重に行う必要がある(安易に自白に頼るような姿勢は厳に慎むべきであろう)。
結局,行為者の目的等の主観的要素を立証したり認定したりする上でも,行為者と被害者の関係性,行為者及び被害者の各属性,行為に至るまでの経緯,周囲の状況等を十分考慮すべきことになるから,実際上の判断要素はかなり重複する場合が多いようにも思われる。

Ⅵ、判例変更と憲法31条,39条との関係
ところで,本件の弁論において,弁護人は,判例を被告人に不利に変更して実刑に処すことは,憲法31条の定める適正手続違反であるし,遡及処罰を禁じた憲法39条に違反するから,本件において,上告審として,判例を変更して被告人に強制わいせつ罪の成立を認めることは許されないと主張した。